「きらりと光る魅力ある学校づくり」

             愛媛県立宇和島東高等学校長 谷口 清美
みんなで食べるとおいしいね!

            宇和島市立三間幼稚園 主任教諭 大内 美己


「きらりと光る魅力ある学校づくり」

愛媛県立宇和島東高等学校長 谷口 清美  
愛媛県立宇和島東高等学校長 谷口 清美 私は、校長として学校運営を任されたとき、生徒や保護者のためになることであれば、これまでと同じことを踏襲するのでなく、勇気を持って改善に務めようと決意いたしました。そして、この六年間この思いを持って学校運営に当たってきました。これまで勤務してきました学校のことを振り返りながら、思いの一端を御紹介いたします。

 
大三島高校にて

 初めて東予地区勤務となり、地域の様子も分からず少し不安でした。生徒は礼儀正しく純朴であり、保護者や地域の方々には優しくしていただき、この不安はすぐに解消しました。初めて校歌を聴いたとき、生徒の全身から絞り出す大きな声に、身震いする感動を覚えました。野球応援でも、一生懸命に応援を繰り広げ、常に野球応援優秀校に選ばれるなど、各方面から高い評価をいただきました。
 小規模校ですが学力の高い生徒が多く、希望の進路を実現してやらねばならないと強く感じました。そこで、確かな学力を付けるために、授業時数をしっかり確保しなければならないと思い、夏休みをこれまでよりも約一週間短くしました。これまでにない試みでしたが、教師と生徒が心を一つにしてよく努力してくれました。生徒の希望が叶い、国立大学に数名が合格したことは、大三島高校での良き思い出です。

 内子高校にて

 内子町は、歴史を感じさせる白壁作りの町並みや内子座を訪ねる観光客が多く、平日でもにぎわいのある所です。生徒は、教師の指導に素直に従い、あいさつもよくできており、感じの良い学校でした。地域の方々は、人情味があり学校にもよく協力していただき、思い出に残る学校となりました。部活動では、郷土芸能部が活躍しており、全国大会の応援に二度も行くことができました。「五十崎出世太鼓」を初めて見たときは、力強い見事な演奏に釘付けになりました。
 学校行事は、PTA役員を中心に多くの保護者の方々に協力していただき、盛り上がりのある行事を行うことができました。体育祭や文化祭をこれまで平日に開催していましたが、保護者の要望もあり、どちらも日曜日に開催することにしました。文化祭は、PTAの役員さんが中心となってカレーづくりを行い、販売いたしました。私の妻にも声をかけていただき、前日から手伝いをさせていただき大変喜んでおりました。文化祭当日は、大変な人気で予定を上回る売り上げがありました。その夜は、参加者全員が集い、「忙しかったけどやってよかったな。あれほど売れるとは思わんかったぜ。」などと言いながら酒を酌み交わし、親しく保護者と交流がすることができ、意義ある懇親会となりました。内子高校PTAで知り合いました「親父の会」の皆さんとは、学校を離れてもよく声をかけていただき、今でも親しく交流を続けています。

 宇和島東高校にて

 教員生活の始めと終わりが、我が母校の宇和島東高校であったことも望外の喜びです。かつての教え子が、教師としてあるいはPTA役員として、母校の後輩のために尽力していただいていることも大きな喜びです。PTA役員さんをはじめ、保護者の皆様に御理解をいただき、絶大なる御協力の下で学校運営ができております。
 生徒や保護者の一番の願いであります、希望の進路実現のために力を入れています。そのために土曜補習を取り入れたり、分かる授業の徹底に努めたりしながら、確かな学力を一層付けることにしました。平成十九年度には、東京大学四名合格をはじめ国立・公立大学に百四十名が合格することができました。本校が東京大学の合格者数が県立高校では一番多かったということで、週刊誌でも大きく取り上げていただきました。平成二十年度は、理数科設置校にふさわしく、医学部・歯学部に十名が合格することができました。
 また、部活動の振興にも力を入れています。五年連続すべての運動部で毎年二百四十名余りが県総合体育大会に出場しています。今年度も陸上競技部をはじめとして、多くの部が全国大会に出場し、活躍してくれました。最後の年に、全国高等学校駅伝競走大会の応援に行くことができました。体育祭を日曜日開催と改め、本校生徒の活躍を多くの保護者や地域の方々に見ていただけるようにいたしました。
 勉強や部活動と同じように、心の悩みを抱えた生徒の教育相談にも力を入れています。今年度より臨床心理士の資格を持つ先生に勤務していただき、悩みを抱えた生徒が定期的に相談できるようにしました。併せて、教職員がカウセリンマインドを身に付けて、より一層親身なって生徒に接することができるように研修会を実施しています。
 これまでどの学校に勤務していましても、生徒や地域の実態を把握しながら、「きらりと光る魅力ある学校づくり」に力を注いできました。保護者の皆様や地域の方々に支援していただきましたおかげで、一定の成果を上げることができました。心からお礼を申し上げます。


みんなで食べるとおいしいね!

 宇和島市立三間幼稚園 主任教諭 大内 美己  
宇和島市立三間幼稚園 主任教諭 大内 美己
 本園は、美味しい三間米がとれることで知られている三間町のほぼ中心部にあります。周りを田んぼに囲まれ、時折近くを予土線の列車が通り過ぎて行きます。園庭には、大きな楠や桜の木、梅やスモモなど実のなる木もあり、四季折々楽しむことができます。
 本園では、このように自然に恵まれた環境をいかし、誕生会には子どもたちと一緒に手作りおやつに挑戦したり、園の栽培物をみんなで収穫し食べたりするなど保育に取り入れてきました。
「食育」の大切さが叫ばれている現在、今年度は今までの手作りおやつづくりや、栽培物、地域の方々との食に関する行事を再考し、食育計画として表にまとめ、教師みんなが食育に対して考えながら、ねらいをもって保育に携わっていくようにしました。
 誕生会の手作りおやつで主なものとして、春は園庭の八重桜の葉を使って桜餅、園庭の片隅から伸びてくるもち柴の葉を使って柏餅づくりをしました。夏には園庭で育てたスイカでフルーツポンチづくり、できた野菜を使ってそうめん流し。そうめん流しでは、ミニトマトやいろいろなフルーツも流れてきて子どもたちは大喜びでした。秋には、十五夜にちなみ月見団子。冬は干し柿づくりに、クリスマスのケーキづくりと続きます。クリスマスケーキづくりは、保護者の方が指導にあたります。5歳児は去年の経験から、優しく4歳児にかかわりながら、作り方を教える姿も見られます。4歳・5歳が一緒に活動することで、触れ合いも深まっていきます。これらの活動の中で、子どもたちは身近なものを使ってみんなでつくる楽しさ、育てる楽しさ、収穫の喜びなどに気付いていきます。
 みんなで、一緒につくって食べるという経験を重ねていくうちに、普段の給食を食べる時間にも子どもたちの中から自然と、「先生!今日はレストランみたいに、みんなで一緒に食べたい!」と声があがるようになりました。「いいねー、そうしようか!」と、教師も子どもたちと机を一つに合わせていきます。「先生!レストランだから、お花をテーブルに飾らんといけんね。」次々、子どもたちのイメージは広がっていきます。園庭の花を机に飾り、楽しい食事タイムとなります。みんなの顔を見ながら食べると、いつにも増して会話が弾み、美味しく感じているようです。
 地域の方とのかかわりとして、今年初めて近くの農家の方から声を掛けていただいて、イチゴ狩りに行きました。ビニールハウスが近づくにつれ、どんどん膨らむ子どもたちの期待。ハウスの中は、甘酸っぱくいい香りのするたくさんの真っ赤なイチゴでいっぱいでした。「うわぁー、イチゴがいっぱい!」と、子どもたちは大はしゃぎ。イチゴの採り方を農家の方に教わった後、思い思いの場所に行き大きな口を開けて、イチゴをほうばっていました。「おいしいね、甘いね、いいにおいやね。」子どもたちは五感をフルに使って感じていました。
 その他に、地域の方々との行事として芋の栽培があります。これは、三間幼稚園児・三間小学校の1年生・農業後継者の三者が一緒に行うもので、二十数年も前から続いているそうです。現在指導していただいている農業後継者の方々の中には、三間幼稚園を卒園された方もおられます。そのような大先輩の方に教わりながら、芋苗植えをし、収穫をしています。このように、地域の方に気軽に声を掛けていただいたり、芋の栽培が伝統行事として継続されたりするような、温かな関係をこれからもずっと大切にしていきたいと思っています。
 「みんなで食べるとおいしいね!」と言いながら、今日も、わいわい!がやがや!もりもり!食べています。みんなで楽しく食べた思い出が、将来の「食育」につながっていくことを願っています。