私の教育実践


私の教育実践 ―特別支援学校での2年間―
県立西条高等学校 校長  藤岡 典夫

私の教育実践 子どもたちと夢を追いかけて ~ロープジャンプの挑戦~
西予市立宇和町小学校 主幹教諭  和家 秀樹



私の教育実践 ―特別支援学校での2年間―
県立西条高等学校 校長  藤岡 典夫

 平成21年4月、校長に昇任して初めての勤務校は、今治特別支援学校でした。特別支援教育の経験が全くなかった私にとって、それはまさに青天の霹靂でした。そのプレッシャーもあってか、県庁での辞令交付式で、藤岡澄教育長の前で倒れるという前代未聞の大失態を演じてしまいました。

 当時、今治特別支援学校は、新居浜分校、東予学園分校を抱える教職員数250名以上の県下一の大規模校でした。専門的知識がない上に、こんなに多くの先生方を掌握できるのかという不安を感じながらも何とか2年間勤めることができたのは、教頭先生、分校長、特別支援教育コーディネ―ターの先生など多くの先生方の大きな手助けがあったからです。

 子どもたちは、無邪気で明るく素朴でした。校長室には子どもたちがよく来てくれました。朝一番に「こうちょうせんせい」と言いながら入ってきて、校長室を一通り見回してから出て行く小学部1年生。毎日、食堂からの帰りに校長室をのぞき込み、私と握手を交わして元気良く教室に走っていく中学部の生徒。「買わないとは言わせないぞ」という気迫をみなぎらせて作業学習でできた農産物を売りに来る高等部の生徒などなど。時には、パソコンのスイッチを切ったり、金庫のダイヤルを回したりして、私を青ざめさせる生徒もいました。教室からは、元気な話し声、歌声、泣き声などさまざまな声が聞こえてきました。こうした校長室への来訪者や教室からの声によって、学校が生き生きと活気を持って動いていることを感じることができました。校長として気分が落ち込む時もありましたが、そんな時救ってくれたのは、子どもたちの笑顔でした。よく、「子どもから元気をもらう」と言われますが、まさにその通りでした。

 知的障害のある児童生徒が通うこの学校で、自分には何ができるかということを考えた時、まずは、教育環境を整えることが第一だと思いました。学校教育法が一部改正され、平成19年4月から特別支援教育の制度が始まりました。それもあってか、在籍児童生徒数は増え続け、今治本校も、新居浜分校も10教室近く教室が足りない状態で、特別教室も使って何とか授業を行っていました。これは高校ではあり得ないことです。寄宿舎、スクールバスも手狭になりました。通学に関することは保護者にとっては切実な問題です。県教育委員会に実情を訴え、改善をお願いしましたが、諸事情で私の在任中に教室が増えることはありませんでした。しかし、寄宿舎については部屋を増やす工事を、スクールバスについては大型化を行うことができました。また、新居浜分校は、平成23年度に新居浜特別支援学校として独立し、体育館、校舎が新築されました。

 教職員の把握にも一苦労しました。先生方の顔と名前を一致させ、状況を把握するために、全員の面接を何日もかけて行いました。また、普段からできるだけ先生方に声をかけるようにし、分からないことはどんどん聞きました。先生方は、総じて、専門性が高く、熱意にあふれ、研究熱心でした。夜遅くまで残って仕事をしている先生も多くいました。中には私と同じように高校から転勤してくる先生もいます。最初は誰しも経験のない世界に戸惑いますが、やる気と向上心を持って、次第に指導力を身に付けていく姿を見るのはたいへんうれしいことでした。

  「特別支援教育は教育の原点である」とよく言われます。まさに、それを身をもって体験した日々でした。明るく笑顔の素敵な子どもたちと思いやりと熱意あふれる先生方に囲まれた幸せな2年間でした。最後にさまざまな思い出を胸に学校を去る時、アーチを作って送り出してくれた先生方の温かさは今も忘れません。



私の教育実践 
子どもたちと夢を追いかけて~ロープジャンプの挑戦~

西予市立宇和町小学校 主幹教諭  和家 秀樹

 私は子どもたちと体を動かすことが大好きです。子どもたちが顔を真っ赤にして汗をかき、仲間とともに目標に向かってがんばっている顔を見るのが、大好きです。そのために、教師という仕事を選びました。

 幸せなことに、新採から40歳まで長年体育主任をさせていただきました。その間、教科体育はもちろんのこと、放課後の水泳指導や陸上指導に力を入れてきたつもりです。本校ではそれらに加えて、後輩のすすめで30人31脚(H19~21)にチャレンジし、大会が打ち切りとなった翌年からはロープジャンプ(H22~)に取り組むようになりました。

 本校では5月の運動会後、6・7月は水泳練習、8月は苦手な子対象の水泳教室、9~11月は陸上練習に取り組みます。ロープジャンプ部(3~6年生・89名)は、それらに加え、年間を通して縄跳び運動に取り組みます。練習内容は、「宇和町小縄跳び検定カード」をベースとした個人練習、ITスタジアム種目の「8の字ジャンプ」、ダブルダッチ、そして、大会種目である大縄跳びと多岐にわたっています。基礎となるランニングやラダートレーニング、ミニハードルトレーニングなどと組み合わせ、強くてしなやかな体つくりを心がけています。

 昨年度は全国優勝させていただきましたが、一昨年度は全国の壁に泣き、その前の年は、四国大会で涙を流しました。悔しくて悔しくて、涙が止まらないほど泣きました。がんばった分だけ悔しかったのでしょう。しかし、その後の子どもたちは悔しさがバネとなり、ものすごい力がわいてきたのです。

 1本のロープで子どもたちの心がつながりました。先輩と後輩がつながりました。他校とつながりました。地域とつながりました。保護者もつながりました。

 そして何より「運動に取り組む意識」がシーズンや年度を超えてつながりました。これが一番大きいことだったかもしれません。水泳大会が終わっても、陸上大会が終わっても年間を通してずっと継続している「大好きなスポーツ」があり、学校体育と社会体育の隙間を埋めるような存在。それが本校ロープジャンプ部なのです。

 平成26年2月8日(土曜日)伊予市民会館で行われる四国大会に4チーム(80名)が出場します。そして、四国一になったチームが平成26年3月30日(日曜日)に東京で行われる決勝大会に進むことができます。もちろん、日本一2連覇を狙って練習をしています。しかし、勝つこと以上に大切なことをたくさん学ぶことのできるこのロープジャンプを、心の底から楽しんで練習しています。

 県陸上運動記録会も終わりました。いよいよ本格的な練習を始めます。今年は次のことを肝に銘じて子どもたちといっしょに夢を追いかけます。

 ◆練習とは、「堂々と失敗する場を提供する」ということである。

 ◆「静」と「動」のめりはりを付け、プレッシャーとリラックスの両方を重視する。

 ◆強い自分、強くなる自分たちを、しっかりとくっきりとイメージさせる。

 学年や性別に関係なく同じ目標に向かって声を掛け合い、汗をかく。その幸せな時間を大切にしていきたいと思います。