新規事業


高校生食育ふるさと料理マルシェ事業報告
生涯学習課
美術館・博物館・小中学校共働による人材育成事業
文化財保護課
豊かな器楽体験推進事業
義務教育課


高校生食育ふるさと料理マルシェ事業報告
 平成28年11月12日(土)、えひめいやしの南予博2016イベント「高校生食育ふるさと料理マルシェ」が愛媛県歴史文化博物館屋外特設会場で開催されました。 出店は9校10チーム。南予の食材1点とその他の県産食材を組み合わせた、高校生が開発したオンリーワンのふるさと料理が開発・披露されました。
 
【参加校】
○愛媛県立北条高等学校  ○愛媛県立松山南高等学校  ○愛媛県立川之石高等学校 ○愛媛県立三崎高等学校  ○愛媛県立宇和高等学校    ○愛媛県立野村高等学校
○愛媛県立宇和島水産高等学校 ○愛媛県立南宇和高等学校 ○済美高等学校A・B  
 オープニングでは、野村高校筝曲部の軽やかな箏の調に乗って、川之石高校の書道部の書道パフォーマンスが披露されました。そして開会式。いよいよマルシェの開店です。
 
<野村高校筝曲部と川之石高校書道部>  <司会進行 松山南高校放送部>

開会式前からチケット販売ブースには長蛇の列。 お目当てのテントの前にも長蛇の列。料理を求めるお客さんにも、提供する高校生にも笑顔があふれました。 ステージイベントでは、津島高校チアリーダーの若さはじける見事な演技が披露されました。

<津島高校チアリーダー部> <満員の会場>   <チケット売り場の長蛇の列>
<笑顔の接客> <真剣なまなざし>   <お客様の列>
【出品作品紹介】
      <グランプリ>
 6名の審査員による試食・審査により、グランプリには川之石高校の「ヒマ杉しらす丼」が選ばれました。 しらす丼の中にまさかの甘夏マーマレード!これには驚きましたが、新鮮なしらすにじゃこてん、ミニトマト、 削りかまぼこ等々、栄養バランスを考えた一品が評価されました。 惜しくもグランプリに選出されなかったものの、他9チームの料理も素晴らしく、 高校生のアイデア満載の創造力あふれるものでした。
    「ヒマ杉しらす丼」
  愛媛県立川之石高等学校 
 
 
「鯛と風早たまねぎのパイ包み」
愛媛県立北条高等学校
「南風さつまろん」
愛媛県立松山南高等学校
「恋する灯台おにぎり」
愛媛県立三崎高等学校
「ベーコンチーズパニーニと
宇和茶みたらし団子」

愛媛県立宇和高等学校
「牛乳豆腐アイスクリーム」
愛媛県立野村高等学校
「スマイルラーメン」
愛媛県立宇和島水産高等学校
「むしゃむしゃ鯛クレープ」
愛媛県立南宇和高等学校
「かぐや媛」
済美高等学校A
「お福媛」
済美高等学校B
 
審査員
愛媛県学校給食会会長・前愛媛県知事 加戸 守行氏
株式会社フードスタイル代表取締役・シニア野菜ソムリエ 近藤 路子氏
愛媛大学農学部農山漁村地域マネジメント特別コース 橋本 百恵氏
道後温泉ふなや 和食総料理長 久保田昌司氏
愛媛県経済労働部 部長 門田泰広氏
愛媛県歴史文化博物館 館長 藤田 享 氏
   <審査員による試食・審査>
 郷土料理、地域の食材、地域行事、地産地消等「食育」をベースとしたメニューを学習・開発し、試食会形式で発表・評価することを通して、 食に関わる人材の育成と、食・食文化の継承を図るという趣旨・目的を、高校生が結実させた一日でした。
   <閉会式の様子>
 
 また、歴史文化博物館内では、学芸員による「愛媛・食の歴史展示解説」を行いました。 考古・歴史・民俗の各視点から愛媛の食の歴史をふりかえる充実した時間でした。
<展示解説会>
詳細な報告書は下記リンクにて(愛媛・南予の観光情報発信サイト:旅なんよ 特集リンク)
 http://www.tabinanyo.jp/special/shoku-no-furusato/


美術館・博物館・小中学校共働による人材育成事業
 
 愛媛県美術館では、平成27年度から文化庁の「地域の核となる美術館・博物館支援事業」からの支援を受け、 「愛媛県美術館・博物館・小中学校共働による人材育成事業」を立ち上げました。
 この事業では、美術作品をもとにした対話型鑑賞を推進し、学校現場における具体的な学習方法について研究しています。 この学習方法は美術作品、図や表、グラフ、実験や観察の結果などを見ながら児童生徒が自由に意見を述べ合い、考察を深めることを促すものです。 次期学習指導要領において授業改善の視点として重要視されている「主体的・対話的で深い学び」の実現に資するものとして、図工・美術はもとより、 理科、社会、算数・数学等の教科学習や、道徳や特別活動における学習の充実への貢献が期待されています。
 
1 対話型鑑賞とは
 「対話型鑑賞」は、美術作品を見ながらファシリテーターが鑑賞者に対して「気づいたこと、感じたこと、疑問などなんでも話し合ってみましょう」 「どこからそう思いますか?」「ほかに何かありますか?」の基本的なフレーズをもとに、ファシリテーターと鑑賞者が対話を重ねていくことによって、 作品への理解を深めていく手法です。 さらに、単に作品や作家に関する理解を深めるだけでなく、対話というコミュニケーションを通じて自己理解や他者理解も深めていくことができるものです。  
 鑑賞の基本的な活動として、以下の4つの作業を繰り返しながら鑑賞していきます。

「みる」:なんとなくみるのではなく、意識をもって隅々までみること
「考える」:直感を大切にしながらも、作品のどこからそう感じるのか、その根拠を具体的に考       えること
「話す」:考えたことを的確な言葉にして、他の人たちに伝えること
「聴く」:他の人の意見に、意識をもって耳を傾けること
 
2 活動の概要
 今年度は平成27年度の取り組みを踏まえ、県内外の大学教授、小中学校教員、美術館・博物館職員等による実行委員会を中心に、 県下の小中学校から自主的に研修したいという先生方も招きました。 そして以下のように会合を開いたり、授業実践に取り組んでいただき、その結果について共有し研修を深めたりしました。
 
(1)トレーニング
ア 第1回トレーニング(平成28年6月5日(日)) 愛媛県美術館
<主な内容>   
① レクチャー「対話型鑑賞について みる・考える・話す・聴く」     
京都造形芸術大学アートプロデュース学科准教授 伊達 隆洋   
② ワークショップ「ACOP体験(全員で一作品鑑賞)     
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師  岡崎 大輔   
③ 鑑賞アンケート     
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師     北野 諒   
④ 振り返り「教わると学ぶの違い」     
京都造形芸術大学アートプロデュース学科准教授 伊達 隆洋
 
イ 第2回トレーニング(平成28年8月24日(水)) 愛媛県美術館   
<主な内容>   
① ワークショップ「逆さまの世界を体験しよう」     
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師     北野 諒   
② ワークショップ「目隠しをした人に言葉だけで絵を伝える」     
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師     北野 諒
③ レクチャー「みることについて」
京都造形芸術大学アートプロデュース学科准教授 伊達 隆洋
④ ワークショップ「マンガ読解」
京都造形芸術大学アートプロデュース学科准教授 伊達 隆洋
⑤ 振り返り
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師  岡崎 大輔
 
   
 
ウ 第3回トレーニング(平成28年8月25日(木))愛媛県総合科学博物館   
<主な内容>   
① ワークショップ「人の誕生」     
西条市立神戸小学校教諭 宮﨑 雅延   
② ワークショップ「三葉虫」     
三重県総合博物館館長 大野 照文   
③ ワークショップ「貝体新書」
京都造形芸術大学アートプロデュース学科准教授 伊達 隆洋   
④ 振り返り     
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師     北野 諒 岡崎 大輔
   
   
エ 第4回トレーニング(平成28年8月26日(金)) 愛媛県美術館   
<主な内容>   
① ワークショップ「聴く・応答する」
京都造形芸術大学アートプロデュース学科准教授 伊達 隆洋   
② ワークショップ「わたしのまち、みんなのまち」     
島根県浜田市立弥栄小学校教諭 金谷 直美   
③ ワークショップ「古地図でACOPしてみよう」
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師     北野 諒   
④ ディスカッション「学校現場での実践を考える」
京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター講師     北野 諒
   
   
オ 第5回トレーニング(平成29年1月29日(日)) 愛媛県美術館   
<主な内容>
① レクチャー「生きのびるために」     
京都造形芸術大学教授 福 のり子   
② ワークショップ「評価」について考えよう」     
伊予市立郡中小学校教諭 吉崎 文子     
島根県出雲市立浜山中学校教頭 春日 美由紀   
③ ディスカッション「授業実践を振り返る」     
松山市立堀江小学校教諭 西川 章子     
西条市立西条小学校教諭 今井 孝輝     
西予市立野村中学校教諭 是澤 充広
   
(2) 授業実践    
ア 東予地域    
 日 時:10月25日(火)10時35分~11時25分    
 場 所:西条市立河北中学校    
 授業者名(研修生):白井 未来教諭・美術(2年生)    
 題材名:「感じたことを伝え合おう ~対話型鑑賞法~」
 
イ 中予地域   
 日 時:11月2日(水)13時50分~14時35分   
 場 所:松山市立堀江小学校  
 授業者名(研修生):西川 章子教諭・図画工作科(1年生)   
 題材名:「ごちそうパーティーをはじめよう!」
 
ウ 南予地域
 日 時:11月21日(月)①9時30分~10時20分             
               ②14時55分~15時45分
 場 所:①西予市立野村中学校 ②宇和島市立吉田中学校
 授業者名(研修生):①是澤 充広教諭 ②三好 研太教諭  
 題材名:①「見て、考えて、話して、聴いて」
      ②「庶民の絵画 ~浮世絵を味わおう~ 神奈川沖浪裏:葛飾北斎」
   
エ 東予地域  
 日 時:12月5日(月)①11時20分~12時5分 ②午後2時5分~2時50分  
 場 所:①西条市立西条小学校 ②西条市立神戸小学校  
 授業者名(研修生):①今井孝輝教諭・社会 ②宮﨑雅延教諭・理科   
 題材名:①「震災復興の願いを実現する政治」      ②「明かりをつけよう」
   
 
「豊かな器楽体験推進事業」
 
 愛媛県教育委員会では、知性と感性の調和のとれた、心身ともに健全な児童生徒の育成を図るため、情操教育推進事業を実施しており、その一環として今年度から新たに「豊かな器楽体験推進事業」を行っています。  
 この事業は、小中学校に県内在住の音楽関係者による支援者(以下「支援者」と呼ぶ。)を派遣し、優れた音楽に直接接する機会を提供することで、子どもたちの豊かな心を育てること目的としています。支援者から、楽器や演奏する楽曲についての講話を聞いたり、実際に楽器に触れたりする体験的な学習を通して、子どもたちは、音楽の楽しさや素晴らしさを味わっています。
 支援者は、次のような全校集会や音楽の授業での指導等、各校の実態に即した支援を行っています。
<支援例>
○ 音楽の時間  
 児童生徒の発達段階、興味・関心に応じて、ティーム・ティーチングの際のサブティーチャーとなり支援を行う。
○ 総合的な学習の時間
 音楽に強い興味・関心をもつ児童生徒の、課題追究の手段の一つとして、支援者による模範演奏、実技指導、音楽による身体表現の指導、音楽講話等の支援を行う。
○ 特別活動  
 集会活動において、支援者による模範演奏、実技指導、音楽による身体表現の指導、音楽講話等を行う。
○ 学校行事
 参観日やPTA行事等の機会に、児童生徒と保護者がともに音楽に親しむ活動を支援する。
○ 市町内合同・連合音楽会
 演奏について講評したり、模範演奏をしたりする。
 実施分野は、管楽器(クラリネット、フルート)、弦楽器(バイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバス)、和楽器(箏・三味線・尺八)、能楽(能・囃子・謡)、和太鼓等、多岐にわたります。当日の活動内容については、事前に学校と支援者が打合せを行い、各校の希望に合わせた音楽活動になるようにしています。
 
<平成28年度の実施校>
 
学校名  実施分野  実施日 
西条市立橘小学校  弦楽四重奏  12月8日(木) 
今治市立亀岡小学校  弦楽四重奏 11月9日(水) 
伊予市立伊予小学校  弦楽四重奏 12月15日(木) 
松前町立北伊予中学校  和楽器(箏)  12月2日(金) 
宇和島市立吉田小学校  弦楽四重奏  11月29日(火) 
愛南町立一本松中学校  和太鼓  2月3日(金) 
<実施校での様子>
 小学校4校は、全校集会でアーク弦楽四重奏団の演奏を鑑賞しました。演奏曲は、モーツァルト作曲の「アイネ クライネ ナハト ムジーク」を始め、「となりのトトロ」など、クラシックから映画音楽と幅広く、低学年から楽しめるプログラムでした。楽器紹介では、弦楽器の大きさや弦の太さの違いで音色や音の高低が変わることを実演していただきました。子どもたちからは、「ピッチカートなどの独特の奏法についてもお話を聞き、一層興味関心をもつことができました。」「間近で演奏を聴くことで、弦楽器の音色や響きをたっぷりと味わえました。」などの感想が寄せられました。
   
 西条市立橘小 今治市立亀岡小 
   
 伊予市立伊予小  宇和島市立吉田小
 松前町立北伊予中学校2年生は、箏を題材に本事業を実施しました。3名の支援者による箏の演奏を鑑賞した後、3人一組で実際に「さくらさくら」の演奏に挑戦しました。生徒にとっては、日頃触れることの少ない日本の楽器や伝統音楽等について学ぶ貴重な時間になりました。
   
 松前町立伊予中
 愛南町立一本松中学校では、2月3日の少年の日記念行事に合わせて、全校で和太鼓体験のワークショップを実施しました。生徒は、支援者による迫力ある音や息のあった細やかな演奏に感動した様子で、力強さだけではない、和太鼓独特の表現の豊かさに触れることができました。鑑賞の後は、実際に和太鼓を打つ体験も行いました。演奏する姿の凛々しさや、独特の音の響きを感じ取りながら、力強く演奏することができました。
 節目の日に、本事業の体験ができたことで、生徒も保護者も有意義な時間を過ごせたとの感想が寄せられました。
   
 愛南町立一本松中
 愛媛県教育委員会では、本事業と併せて「歌いつごう日本の歌開催事業」も行っており、これらの事業を通して、今後とも愛媛の子どもたちの情操教育の推進に努めて参ります。