特集

平成30年度 県立図書館の学校図書館整備支援事業紹介
社会教育課(図書館)
平成30年度 県立図書館の学校図書館整備支援事業紹介

1 学校図書館整備支援事業について
 学校図書館整備における課題について、学校からの相談に応じ、県立図書館が具体的な助言等を行うことで、学校図書館の活性化を図ることを目的に、28年度から取組を開始しました。
 この事業は、各校の持つ学校図書館の理想像を共有し、現状を踏まえつつ、県立図書館が整備案を提案し、作業に協力するというものです。(図1)
(図1)
 なお、事業開始にあたっては、県高校教育課から助言をいただいたり、県高等学校教育研究会(以下、「高教研」という。)図書部会総会並びに研究協議会において事業説明の時間をいただいたりして、これまで円滑な事業実施ができていることに感謝の意を表します。

2 これまでの実施状況
[平成28年度]
 県内の高等学校・中等教育学校・特別支援学校を対象に、学校図書館の実情把握のため、11校の学校図書館を訪問しました。
 その後、29年5月に県立図書館のホームペ―ジ上で「学校図書館整備支援事業」の事例集として、訪問した各学校の特色や工夫を紹介しました。(図2)
(図2)

[平成29年度]
 整備支援を行う学校を、高教研図書部会の研究委嘱校である県立長浜高等学校として、同校と連携して整備支援を実施しました。
 5月に、担当教諭と整備計画の打ち合わせをし、「レイアウトや蔵書を見直し、生徒が快適に過ごせて授業でも活用できる図書館」を目指して、まずは、長年利用されていない図書の除籍から始めました。
6月~9月にかけて、3回にわたり学校図書館を訪問し、図書館の蔵書構成やレイアウト等への助言、分類毎に蔵書として必要かどうか選定する作業を行い、除籍予定リストの作成にも協力しました(写真①)。
その後、生徒と共に分類別に排架する作業等にも協力し、快適に過ごせ、授業でも活用できる学校図書館として、少しではありますがお役に立てたのではないかと思います(写真②)。
 
写真①                        写真②

[平成30年度]
 県立西条高等学校及び県立今治南高等学校について、それぞれ連携して整備支援を実施しました。
 西条高校では、古い図[平成30年度]書の廃棄が課題であるが何をどのように選別していいのかわからないということでしたので、7月に1度訪問し、除籍対象資料の選別作業に協力しました。

3 平成30年度の整備支援内容(県立今治南高等学校の事例)
〇第1回目訪問(平成30年7月6日)
 学校図書館の現状把握と担当教諭から希望する整備支援用務について聞き取りをしました。
 「生徒がカフェのような雰囲気でくつろいで読書を楽しめる図書館」「調べ学習に対応できる図書館」を目指し、まずは、不要な図書の除籍をすすめていくことになりました。

〇第2回目訪問(平成30年12月27日)
 分類毎に蔵書として必要かどうか選定する作業を行いました。(写真③)古い蔵書が大変多く、一度に除籍の手続きをすすめるのは大変であるため、今の生徒に必要であると考えられる資料群の整備をすすめることを優先し、使われない蔵書は別の部屋に一時的に仮置きすることとしました。
(写真③)

〇第3回目訪問(平成31年1月30日)
 長年、除籍ができず、増え続ける蔵書を配架するために書架を増やしていました(写真④、⑥)が、利用されていない蔵書を減らすことで、書架に余裕ができ、スペースの有効活用を図ることができました。
 そして、そのことにより、生徒がくつろいで本を読むことができるようにソファーを配置したり(写真⑤)、調べ学習に対応した参考書等を集約したコーナーを作ったり(写真⑦)するなど、生徒の利便性を考えたレイアウトに変更することができました。
(写真④)整備前                     (写真⑤)整備後
(写真⑥)整備前                     (写真⑦)整備後
〇整備支援を終えて
 県立図書館がお手伝いできたことはほんのわずかです。訪問と訪問の間の作業は、学校の先生方が一丸となって取り組まれ、素敵な図書館になりました。


4 令和元年度の整備支援予定
 県立図書館では、今年3月策定の「愛媛県子ども読書活動推進計画(第四次)」に基づき、今後の方向として、学校図書館整備支援事業をさらに発展させ継続していくこととしています。
 今年度は、県立上浮穴高校及び県立南宇和高校において、環境整備支援に加え、「図書委員スキルアップ講座」として、県立図書館職員が図書委員等に書架整理の方法やブックコート及び図書の補修、POP作成の基礎等を指導し、学校図書館の一層の活性化を目指す予定です。

5 終わりに
 新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学びの実現」に向けた授業改善が求められ、その方策の一つとして、「学校図書館、地域の公共施設の利活用」があげられており、学校図書館の活性化が重要なポイントと言えます。
 そこで、県立図書館は学校図書館が抱える課題に、司書の専門的な見地から助言し、ノウハウを伝え、学校図書館と連携して環境整備支援に取り組むことで、生徒達の読書環境の充実に協力しようと、この事業を始めました。
 今後ますます多様化する社会において、生徒達の生きる力をより育むことができるよう、また、情報リテラシーや学びに向かう力を高めることができるよう、微力ながら、これからも継続して整備支援をしてまいります。