学校紹介
 芝生とともに育て、野中生
〜自ら学び、主体的に活動する生徒の育成〜
 
 
西予市立野村中学校 
校長 上甲 和博
 

西予市立野村中学校の外観 本校区は、南予のほぼ中央部西予市野村町に位置し、高知県境の四国カルストの大野ヶ原や桂川渓谷など豊かな自然に恵まれている。地域の特性を生かした産業である酪農や養蚕、「乙亥相撲」で知られている相撲が盛んな地域でもある。
 本校は、昭和46年に町内5校が統合して発足し、まもなく統合40年を迎えようとしている。平成12年には残っていた惣川中学校と統合し、新たな出発をした。現在は全校生徒数290名と減少したが、地域の方々の支えや恵まれた環境の中で、生徒たちはのびのびとした活動を行っている。




 本校の学校の教育目標は「豊かな心を持ち、主体的に活動する生徒の育成」である。平成17・18年度に県の「就学前、小中学校人権・同和教育研究指定事業」を受けたことをきっかけに、望ましい人間関係を育てる仲間づくりを核として「地域・家庭・学校」が協力し、共に郷土に生きる活動に取り組んでいる。

(1) 芝生化プロジェクト
 今年度4月から、「鳥取方式によるグラウンド芝生化プロジェクト」がスタートした。「本当にできるのだろうか」という不安と「芝生になったら気持ちがいいだろうな」という期待を込めて、全校生徒でポット苗作りから始めた。最初は「これで育つのか?」というくらい小さかった苗が、毎日の水やりと10日に一度の施肥で徐々に育っていった。6月、ついに苗をグラウンドに植えつける日が来た。前日から本校ならではのPTAの協力で、グラウンドを耕し、バークと牛糞ペレットを入れ、苗を植えやすいように印をつけ準備完了。ボランティア参観日とした土曜日の午後、全校生徒、教職員、保護者だけでなく、地域の方々や高校生、愛媛FCの協力も得て、芝生苗18000本をグラウンドに植えつけていった。雨が降るごとに、水やりをするごとに、小さかった苗が徐々に大きく成長し、やがて点であったものがつながり、一面の緑となった。水やり、肥料の散布、芝刈りと手入れは大変だが、9月には念願であった芝生の上での運動会を開くことができた。秋になり夏芝が休眠に入る頃、冬芝の種を蒔き、冬を迎えようとする今も鮮やかな緑に覆われている。朝は野鳥たちの楽園として、昼は生徒たちの活動の場として、グラウンドの芝生は野村中学校のシンボルとなっている。来年度のグラウンド全面芝生化が待ち遠しい。
芝生の苗植え 芝生の上での運動会 裸足で授業
芝生の苗植え 芝生の上での運動会 裸足で授業

(2) ボランティア活動
ア  朝霧湖マラソン
 毎年ゴールデンウィークに開催される野村ダムまつり。そのメインともいえる朝霧湖マラソンは、多くのボランティアの力で支えられている。その一役を担っているのが、本校生徒のボランティアである。部活動単位で参加し、給水所での水やスポンジ渡し、沿道での声援、ゴール後の補助やボランティア風景スポーツドリンク渡し、昼食場所での給仕の手伝いや片づけなどさまざまな仕事を分担して行う。この活動は参加者に大変好評で、陸上愛好者の雑誌や新聞に感謝の意を表す投稿があったり、大会運営本部や学校へ直接お礼の手紙が来たりしている。生徒たちへは学校便りや集会時に紹介し、次年度への励みにしている。
イ  おはようの声ひびかせ隊
 幹線道路から学校の正門へと続く進入路に、7時35分を過ぎると次々と生徒たちが出てくる。毎日決まった生徒ではなく、朝の奉仕作業のクラスの生徒であったり、朝練習に来ている部活動の生徒であったりする。首からあいさつ運動のキャラクターをさげ、大きな声で「おはようございます」の声を響かせている。彼らは「おはようの声ひびかせ隊」と呼ばれるあいさつボランティアの生徒たちである。にこやかな笑顔とさわやかな「おはよう」の声で野村中学校の一日は始まる。

(3) 人権劇
人権劇の一場面 毎年、秋の人権参観日や学園祭で生徒だけでなく保護者も参加して人権劇の上演を行っている。今年度は「障害者差別」をテーマとして10月の人権参観日で人権劇の発表を行った。夏休み中には人権委員が特別支援学校へ取材に行き、担当教諭とシナリオを仕上げていった。出演者は3年生を中心に保護者へも希望を募り、昼休みや放課後を利用して練習した。そして完成したオリジナル劇「七夕の願い」は、ストーリーのすばらしさだけでなく出演者の熱演もあり、観客の涙を誘う心にしみ入るすばらしいものとなった。今後もオリジナルの人権劇は継続されていく。



 晴れた日の昼休みになると、青々と茂ったグラウンドの芝生の上でサッカーをしたり、鬼ごっこをしたりして遊んでいる生徒たちの姿を見かける。生徒たちはいろいろな行事を通して、いつも一生懸命な姿を見せ、地域の方々からも褒めの言葉をいただくことが多い。協力的で親の働く姿を見せてくれるPTAとともに、温かい目で見守ってくださる地域とともに、踏まれて力強く育つ芝生のように、忍耐強くそれでいて人を癒す豊かな心を持った生徒を育てていきたい。