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愛媛県教育委員会は、青少年の自主的・自発的なボランティア活動を支援するため、平成19年から「ヤングボランティア支援事業」を実施してきました。
今年度からはNPOと協働することにより、活動の一層の充実、広がりを目指してボランティア活動に取り組んでいます。また、学識経験者・学校関係者・ボランティア関係者・NPO・行政関係者などで構成する「ヤングボランティアセンターサポート委員会」がヤングボランティアセンターの運営・成果について評価・検証するとともに、支援団体とのコーディネートを行っています。
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ヤングボランティアセンターは愛媛県美術館南館に開設しており、そこで高校生等の青少年が様々なボランティア活動を企画・実施しています。
ここでは、平成22年度の主なボランティア活動をご紹介します。 |
1 ヤングボランティアスタッフ会議
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スタッフ会議の様子
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ヤングボランティアセンターに登録している高校生スタッフが、ボランティア活動の企画や運営の方法について話し合う会議です。スタッフ会議に向けて、事前の調査や準備を行い、スタッフ会議に臨みます。
・高校生スタッフによる打ち合わせ会(4月)
・ボランティア情報の収集や調査(5月)
・スタッフ会議準備会(5月)
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○第1回ヤングボランティアスタッフ会議(5月):今年度の活動計画を決定
○第2回ヤングボランティアスタッフ会議(9月):活動の検討や見直し、今後の活動計画を決定 |
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2 絵本・紙芝居の読み聞かせボランティア活動
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昨年度から継続して取り組んでいるボランティア活動です。特に子どもを対象にしたボランティア活動に興味を持つ高校生スタッフが熱心に取り組んでいます。 |
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7月 講習会
愛媛県立図書館ボランティアグループ『おはなし☆グミ』の丸山康子先生に絵本や紙芝居の読み聞かせの基礎・基本をご指導いただきました。
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8月 練習会
本番に向け、必死に練習!
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8月 実演
「おはなしだいすき!」
(愛媛県立図書館)
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10月 実演
「こども博 第10回
KID’Sフェスタ」
(アイテム愛媛)
『えひめ紙芝居おはなし会』と協力
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11月 実演
「秋のたっぷりおはなし会」
(愛媛県立図書館)
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読み聞かせボランティア活動に取り組む高校生スタッフの感想 |
○ |
最初はとても緊張したけど、子どもたちが反応してくれるとやりがいを感じる。
(1年女子) |
○ |
ていねいに指導してもらい、絵本や紙芝居の難しさやおもしろさを発見できた。
読み聞かせは奥が深いと思った。(3年女子) |
○ |
暗記するくらい何回も練習すると本番で余裕が出て、アドリブも入れることができてとても楽しい。(2年女子) |
○ |
子どもたちと楽しくすごせる時間がとても良いと思う。(3年男子) |
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3 シャッターボランティア活動
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シャッターボランティアとは、家族連れ、ご夫婦やカップル、友達同士が記念撮影をする際のカメラ役を買って出るボランティアのことです。今年度から新たに取り組み始めた活動です。
観光地で活動することから、「おもてなしの心で、思い出作りのお手伝いを行うとともに、観光客の方と言葉を交わしてみよう」を目標に取り組みました。
6月、高校生スタッフが松山城で観光客の様子など事前調査を行い、松山城大天守を背景としたシャッターポイントが3か所あること、大天守内での甲冑の着付けボランティアが不足していることがわかりました。松山市役所や松山城総合事務所などの協力を得て、7月からシャッターボランティアと甲冑の着付けのお手伝いボランティアを始めました。
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松山城大手門跡での呼びかけ
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松山城大天守を背景
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甲冑の着付け
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高校生スタッフから「松山以外の観光地で、シャッターボランティアはできないか?」との声があがり、今治の高校生スタッフから「是非、しまなみ海道でやりたい!」との希望がでました。
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10月、しまなみ海道での事前調査を行い、来島海峡大橋を背景としたシャッターポイントが来島海峡展望館にあることがわかり、今治市役所などの協力を得て、11月3日(文化の日)に『シャッターボランティアin松山&今治』として、松山城と来島海峡展望館で同時にシャッターボランティアに取り組みました。 |
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シャッターボランティア活動に取り組む高校生スタッフの感想 |
○ |
最初は恥ずかしかったが、観光客の方にあいさつをしたり言葉を交わすことができ、とても楽しかった。(2年女子) |
○ |
観光客の方がとても喜んでくれるのが嬉しく、やってて良かったと感じた。また、家族で一緒に写真を撮る人が多いなと思った。(1年女子) |
○ |
観光客の人たちと話をすることは初めての経験だったが、とても楽しかった。またやってみたいと思う。(2年女子) |
○ |
松山にいながら松山城に来ることはほとんどなかったが、想像以上に観光客が多く、驚いた。(2年女子) |
○ |
甲冑の着付けもかなり慣れてきて、積極的にできるようになった。(1年男子) |
○ |
楽しく、人の役に立てるのでやりがいがある。(1年男子) |
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4 堀江公民館通学合宿 12月15日・水曜日 から 12月18日・土曜日
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通学合宿最後のスタッフ会議(反省会)
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みんなで朝食 「いただきます!」
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5 福音公園づくりボランティア活動 |
国道11号線小坂交差点の高架下にある福音公園を安全で、より良い公園にしていく活動をNPO法人えひめ子どもチャレンジ支援機構、久米公民館、福音小学校などと協力して取り組んでいます。
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第1回 ワークショップ(12月5日)
①現地視察
②どのような公園にしていきたいか、みんなでアイディアを出して検討
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アイディア例
・休憩のための机や椅子を設置 ・照明、トイレの設置
・花壇の設置や芝生の敷設 ・天井やコンクリートに絵を描く
・落書きコーナーの設置
・キャッチボールなど球技のできるスペースや砂場を設ける
・大きな遊具や小さい子の遊べる遊具を増やす
・橋脚の壁を利用して、バスケットボール、テニス、サッカーなどができるようにする
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③2つのグループに分かれ話し合う
橋脚に「絵を描く」ことに決定、具体的な案について2班に分かれて協議
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④全員で今後の方向性を探る
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第2回 ワークショップ(12月26日)
①公園づくりの目的
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・明るい公園にする
・不審者対策も行う(人目を集める、大人の目を増やす)
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②どのような絵を描くのか
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・子どもが楽しめるようにアットホームな温かい絵を描く
・子どもが描かれている絵で遊べるようにする
(すごろく、間違い探し、だまし絵など)
・大人も楽しめるように芸術的な絵や写真を飾る
・イベントの告知なども行う
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③だれが絵を描くのか
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・小学生が授業や学校行事の一環として絵を描く
・希望者や美術部など、高校生が絵を描く
・書道の得意な人が字を書く(老人ホームなどに依頼)
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④企画の名称
『柱で遊ぼう!!公園☆アート』(仮称)
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全員での話し合い
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話し合いの内容をプレゼンテーション
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橋脚に絵やデザインを描くと…(想像図)
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第3回ワークショップを2月6日・日曜日に開催し、その後、小学生や保護者、地域の方にどのような公園にしていくかプレゼンテーションを行いました。
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6 その他に取り組んでいるボランティア活動
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一昨年から取り組んでいる活動です。
愛媛県赤十字血液センターの協力を得て、今年度は松山市、西条市、松前町で献血の呼びかけボランティア活動を行いました。 |
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日本ガーディアン・エンジェルス松山支部、松山市役所の方たちと一緒に松山市の大街道や銀天街で、自転車の乗り入れ禁止などマナーの向上を呼びかける活動を行っています。
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NPO法人ぷちすてっぷ主催のクリスマス会で、子どもたちと一緒に色々な遊びをしました。
愛媛大学付属特別支援学校体育館での様子です。
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7 最後に |
今年度はヤングボランティアセンターサポート委員会の助言のもと、NPO法人子どもチャレンジ支援機構、各種ボランティア団体、行政機関や民間会社などの指導や協力を得て活動することができました。高校生スタッフも学校ではできない活動や、他校の高校生スタッフとの交流をたくさん経験することができたようです。また、経験を重ねるごとにコミュニケーション能力、企画力や運営力を身につけるなど少しずつ成長しています。
今後は、このようなボランティア活動をもっと多くの人たちに知っていただき、愛媛県下全域に広げていきたいと思っています。そして、学校や地域のボランティア活動に積極的に参加するだけでなく、ボランティア活動の企画や運営のできる人材を育てていきたいと考えています。
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★愛媛県下の高等学校、中等教育学校の教職員の方々へ
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ヤングボランティアスタッフの募集、ヤングボランティアセンターの事業の周知や活動への参加について、今後もご協力いただきますようよろしくお願いします。 |
★愛媛県下の高校生へ
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ヤングボランティアスタッフとして一緒に活動してみませんか。きっと、自分を成長させる良い経験ができるはずです。
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2011年は、国連が定める「国際森林年」です。国際森林年は、現在・未来の世代のために、森林の持続可能な森林経営、保全、持続可能な開発を強化することについて、あらゆるレベルでの認識を高めることが目的とされています。
県では、平成17年度から導入した「森林環境税」を活用して、県民参加による「森林環境の保全」と「森林と共生する文化の創造」を掲げ、森林の環境資源としての役割を重視した様々な施策を展開しています。
県教育委員会では、平成18年度から「森はともだち」推進事業を実施し、平成21年度までに小中学校15校において、地域の森林を大切にする子どもたちを育てる取組を行ってきました。
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1 「森林わくわく体験」推進事業とは |
第2期森林環境税が平成22年度から導入されたことを機に、子どもたちの発達の段階に応じた森林における体験活動を一層充実させるために、事業の対象を幼稚園児まで広げました。従来からの「森はともだち」推進事業に加え、「森のようちえん」推進事業を新設し、総称を「森林わくわく体験」推進事業として新しくスタートしました。
■事業の目的■
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2 事業の実際 |
(1)「森のようちえん」推進事業実施園の取組(3園) |
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研究テーマ |
心豊かでたくましく生きる幼児の育成
~ 地域の森林や自然とのかかわりを通して ~
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親子ハイキング
おとうさん、おかあさんと
いっしょだよ。
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大西神社の森
もうすぐ、もりだよ。
わぁー、暗くなっていく・・・。
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春さがし
これ、おうばいでないんで、
ろうばいの花で!
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研究テーマ |
友達とともに森に親しむ幼児の育成
~ 地域の森を生かして ~
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植物さがし
図かんの花と同じだね! |
客八神社の森で
登れるかなあ・・・ |
久万高原町の森で
ハンモック、気持ちいい! |
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研究テーマ |
豊かな感性やたくましい体をもつ幼児の育成
~ 地域の森林や自然の中での体験を通して ~
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竹をゆすると・・・
あれ?雨がふってきたよ。 |
公園の森で
きれいな葉っぱみぃーつけ。 |
親子でゲーム
ふくろうとねずみ、
たのしいよ。 |
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(2)「森はともだち」推進事業実施校の取組(小学校3校・中学校2校) |
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研究テーマ |
「森はともだち」
~学ぼう守ろうふるさと朝倉の森~ |
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屯田川源流体験
源流を求めて、
一生懸命歩きました。 |
朝倉の森での森林体験
初めて枝打ちをしました。 |
笠松山の調査
地域のシンボル笠松山の緑を復元するため調査に取り組んでいます。 |
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研究テーマ |
ふるさと小田の森林に親しむ児童の育成
―5年生の「総合的な学習の時間」の活動を中心として― |
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森の基地作り
完成したぞ。どんなもんだい! |
巨木巡り
イチイガシの中で、パチリ。 |
林業組合の仕事体験
うぅーん、重ーい。 |
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研究テーマ |
地域の森を愛し、いとおしみ、
自分からかかわろうとする児童の育成
~地域とともに歩む「総合的な学習の時間」の活動を通して~ |
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森に親しむ
森がぼくたちの遊び場です。 |
ケヤキの支え付け
大きく育ちますように。 |
町有林の調査・見学
ここで育った木が学校のろう下にも使われているんだよ。 |
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研究テーマ |
船木の森を守り育てる生徒の育成
~地域から生き方を学ぶ環境学習
「総合的な学習の時間」の実践を通して~ |
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竹の伐採
放置しておくと大変。
竹を切ることが大切なんだね。 |
竹炭焼き体験
伐採した竹で竹炭づくり。竹炭にはたくさんの効果があるんだって。 |
久万銘木見学
愛媛の木って、有名なんだ。
ヒノキの生産量は日本一だって。 |
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研究テーマ |
森と環境とのかかわりについて関心を高め、地域の森林を大切にしていこうとする生徒の育成
~ 地域から学ぶ「総合的な学習の時間」の実践を通して ~ |
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森林体験活動
間伐作業を体験しました。ほかにも森を管理する作業を学びました。 |
アートフェスティバル
木や竹などの自然素材を使って
作品を作りました。 |
講演会
「森を守ることは環境を守ること」について学びました。 |
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3 成果と今後の課題 |
各実施校園では、行政機関の協力を得て、間伐、下草刈等の森林活動を行ったり、保護者や地域の方の協力を得て、身の回りの雑木林を散策したりするなど、工夫された実践が行われています。また、地域の森林に関する学習から、空、川、海などの地域の自然や環境に関する課題に気付き、追究する学習活動へと発展しています。このような森林とのかかわりを通して、森林に親しみをもつ子どもたちが育っています。
今後は、平成25年度まで、毎年幼稚園3園、小学校3校、中学校2校を指定して事業を実施する予定です。森林での体験を生かした教育活動の在り方を研究し、森林環境保全のために自分たちにできることは何かを考え、主体的に森林とかかわることができるように改善していく予定です。
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本県では、平成22年度から3年間の計画で「えひめ学力向上チャレンジハイスクール事業」を実施しています。
本事業では、高校生の学力の向上を図るため、新学習指導要領の改訂の柱である「言語活動の充実」「理数教育の充実」「職業教育の充実」のいずれかを研究主題として、指定校(学力向上チャレンジハイスクール)において実践研究を推進するとともに、指定校の取組を普及することを通して、愛媛の未来を担う人材の育成を図っています。
今回は、指定校の中で、今治北高校大三島分校、松山東高校、松山中央高校、川之石高校の平成22年度の取組について、紹介します。
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<指定校(学力向上チャレンジハイスクール)>
【言語活動の充実】今治北高校大三島分校、大洲高校
【理数教育の充実】西条高校、松山東高校、松山北高校、松山中央高校、宇和島東高校
【職業教育の充実】西条農業高校、川之石高校
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1 今治北高校大三島分校(普通科) 【言語活動の充実】 |
(1)研究主題
国語科と他教科及び総合的な学習の時間等との関連付けを通した言語活動の工夫
(2)主な実施内容
ア 教科での研究実践
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言語活動の中心となる国語科では、各学年とも俳句を通じての言語活動を実践しています。文化祭では全校生徒の句を展示しました。特に2年生は修学旅行(北海道)に関する内容の作品を発表しました。 |
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地歴・公民科では新聞記事をまとめて発表する課題作業、理科では大三島の植物観察とそのレポート作成、英語科では英語による生徒の体験発表を行うなど、それぞれの教科での実践が進んでいます。 |
イ ホームルーム活動
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3年生では「生徒による模擬面接」などの活動を行っています。進学・就職での面接試験において、自分や学校、故郷のことを語れるようになることが、この研究の目標の一つです。最終的に3年生は教務主任・進路指導主事・分校長と個別に面接指導を受けて、成長しています。 |
ウ 総合的な学習の時間
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愛媛新聞伯方支局長を招いて、新聞記事がどのように書かれていくか、指導してもらいました。正しく分かりやすい文章を書くことの大切さを学びました。
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老人介護福祉施設への訪問活動を2回実施しました。介護体験やお年寄りとの交流を円滑に進めるために必要な、言葉の大切さを学んでいます。また、保育所を訪問しての読み聞かせ活動も行いました。幼児にも分かる言葉で伝えることの難しさを体験しました。
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エ ボランティア活動
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大三島美術館の要請を受けて、目の不自由な方々との交流と援助を行いました。絵の様子を言葉でていねいに説明してゆくのが難しかったのですが、多くの人に喜ばれ、貴重な体験ができました。 |
オ 生徒主体の講演会や研修会
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夏休みの課外補習の時間(午前中3時間)を使って、生徒全員がマインドマップの作り方を学びました。1・2年生は「自分の将来の目標」を自分の言葉ではっきり書くことができるようになりました。3年生は「面接で何を語るか」を描きました。自分の思いを伝える一つの方法として、大変参考になりました。 |
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愛媛大学の三浦和尚教授を招いて、「ことばこころまなび」と題した講演会を実施しました。伝達・認識・思考・創造といった言葉の大切な働きについての話があり、言葉でものを考え人の心を理解できるということは、人が人である証明であるということを学びました。 |
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第二次世界大戦中にユダヤ人の救出に携わった杉原千畝の生き方について学び、学年を越えての班別討論会を実施しました。千畝の生き方に感銘を受けると同時に、友人の意見をきちんと受け止め、自分の考えをまとめることの大切さ、分かりやすく意見を述べることの難しさを実感しました。 |
カ 先進校視察訪問
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神奈川県(横浜桜陽高校・追浜高校)、広島県(安芸南高校)、兵庫県(夢野台高校・尼崎北高校)を視察訪問し、研修を深めてきました。今後の研究実践に生かしたいと思います。 |
(3)まとめ
研究実践の1年目、生徒は徐々に「ことばの力」や「ことばの大切さ」を理解してきました。授業やホームルーム活動において、自分の言葉ではっきり意見表明できる生徒も増えています。今後とも、教科の授業だけでなく、総合的な学習の時間やホームルーム活動、学校行事などの様々な場面において、言語による自己表現ができるよう工夫をしていきたいと考えています。
大三島分校の生徒たちは素直でまじめです。生徒たちが、将来、堂々と臆することなく「自分」「故郷」「母校」を語れるように、研究を進めていこうと思っています。
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2 松山東高校(普通科) 【理数教育の充実】 |
(1)研究主題
理工・医歯薬系進学希望生徒のための指導内容・指導方法の工夫・改善
(2)主な実施内容
ア 先進校視察
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東京都の進学指導重点校である国立・八王子東・日比谷高校を訪問しました。教育課程や土曜日の活用、長期休業中の補習等、進路指導全般についての説明を受けました。 |
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京都市立堀川・西京高校、私立洛南高校を訪問しました。東京方面と同様に、教育課程や進路指導全般についての説明を受けました。 |
イ 進路座談会
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教育実習最終日に、進路座談会を行いました。実習生8名に対し、1・2年生を中心とした89名の在校生が集まり、進路選択・学習方法・大学生活等に関する質疑応答が行われました。積極的に質問する在校生に対し、誠実かつ丁寧に答える実習生が印象的でした。 |
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各座談会の様子 |
8月初旬、3年生を対象に本校を卒業した現役医学部生3名から、大学生活や高校時代の勉強方法等について話してもらいました。来校した3名は一般入試合格・推薦入試合格、また、現役合格・浪人合格と様々な形で進学しており、3年生は、貴重な話を聞くことができ、実りの多い時間となりました。 |
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8月中旬に、2年生を対象に本校卒業の現役東大・京大・医学部生に来てもらい、大学別の3会場に分かれて座談会を行いました。希望する生徒が直接先輩と話をすることで、早い段階から高い目標を持って学習に取り組む意識を持つよい機会となりました。 |
ウ 進路講演会
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進路講演会の様子 |
第1回定期考査2日目に、1年生を対象に、「進路実現に向けて」と題して、高松高等予備校の太田浩二先生を講師に招いて、進路講演会を行いました。1年生から進路について考えることや、1年生からの学習の積み重ねが重要であることを強調されていました。 |
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第1回定期考査後に、河合塾から講師を招いて、3年生の希望者24名を対象に「東大・京大現役合格をめざして」と題した超難関大学説明会を行いました。志望者数の推移、入試問題の特徴、学習対策、合格力の育成などについて説明していただきました。「学習の基本は書くこと」「模試は自分の力をはかるためのもの」という点を強調されていました。 |
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明教講座とは、総合人間力の醸成を図るため、社会の第一戦で活躍されている本校先輩諸氏のものの見方、考え方、生き方を学ぶとともに、在校生と卒業生の関わりを通して東高生としてのアイデンティティを高めるための講座です。本年度は愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻地域救急医療学准教授で医学博士の鈴木由香先生が「地域医療の実態~明暗を含めて~」と題して、後輩たち約40名に現在の地域医療の実態をわかりやすく説明してくださいました。 |
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本校第19期御卒業で弁護士の宇都宮真由美先生を招いて、1年生を対象に「弁護士という仕事」と題した講演をしていただきました。先生自身の弁護士・政治家としての経験談や、高校時代の話をしていただきました。弁護士志望の生徒も多く、キャリア意識の向上につながる講演となりました。 |
エ 理系専門分野のトップレベルの大学又は研究機関の訪問
大学・研究機関への訪問を予定していましたが、今年度は大学・研究機関から講師を招き、講演や講義を行っていただきました。
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中道正之先生の出張講演 |
大阪大学大学院人間科学研究科比較行動分野の中道正之先生による「サルを見て、ヒトを知る~学問のおもしろさを実感しよう~」と題した講演会を行いました。講演の中で、研究とは「見つづける」「分析力、構成力」「コミュニケーション力」「知的感動・豊かな感性」であり、継続が創造性を生むことを教えていただきました。 |
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試走予定のEV |
2月に愛媛県産業研究所EV開発センター長の佐藤員暢先生を招き、EV開発に関する講演をしていただいた後、EV走行を見学することを計画しています。地域の産学官が集結して、本格的EV時代に向けたさまざまなビジネス開発を行っている実態に触れる機会となる予定です。 |
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平沢泉先生の出張講義の様子 |
早稲田大学理工学術院先進理工学部応用化学科の平沢泉先生による「結晶づくりで社会に貢献」と題した講義が理系生徒を対象に行われました。「結晶とは」「結晶をつくる基本」「結晶のでき方」など、専門とされている世界レベルの研究についてはもちろんのこと、学ぶことの意味についても話をしていただきました。 |
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東京大学主催の2010年度冬学期「高校生のための金曜特別講座」に参加しています。現在まで8回実施しており、受講者から好評を得ています。今後は、「香港という地域を観る」「確率・統計モデル入門:ばらつきを計る」「ミクロの目で見る筋肉の世界」「イラストレーションのパワー」「モンゴルの紹介」の5回の講座が予定されています。文系生徒対象の講座もあり、幅広い生徒の知的探究心を刺激するよい機会となっています。 |
オ 難関大学別の指導
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先進校視察を契機として難関大学進学者を対象とした特別補習を、8月初旬の4日間、90分授業を理系生徒は4コマ、文系生徒は3コマ実施しました。理系生徒が英語・数学・化学・物理を、文系生徒は国語・英語・数学を受講しました。 |
(3)まとめ
3年計画の1年目であるため、生徒に知的探究心を持たせる必然性を痛感し、進路座談会・進路講演会(出張講演を含む)を重点的に実施しました。生徒も自分の可能性を発見し、将来に向けて必要な学力を身に付けるための学習に従来よりも意欲的に取り組むようになりました。これからも、様々な機会を設けて、生徒の更なる成長につなげていきたいと思います。
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3 松山中央高校(普通科) 【理数教育の充実】 |
(1)研究主題
理数系・医療系コースの特色を生かした外部機関との効果的な連携の在り方や指導方法の工夫」 ~生徒ひとりひとりのよりよい自己実現を目指して~
(2)主な実施内容
ア サイエンスパートナーシッププログラム(SPP)(大学との連携講座)
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8月2・3日、愛媛大学理学部と提携し、理系学部進学希望者から募集した30名を対象に化学系、生物系、地学系の三つの分野に分かれてSPPを実施しました。生徒は研究の一連のプロセスを体験できただけでなく、より実際に近い形で大学での研究活動を体験することができました。大学の先生方に生徒の実情に合わせて指導していただき、生徒にはそれぞれのテーマの面白さ、理系の研究の深みの一端が伝わったと思います。研究の結果は中央祭で発表しました。 |
イ パナソニックセンター訪問
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修学旅行(関東班)3日目にパナソニックセンターを訪問し、施設を見学しました。中に入ると巨大な液晶画面があり、3D対応ムービー等の映像技術の進歩に驚きました。2階には、様々な障害を体験するコーナーやCO2の排出量削減やリサイクル、エコ活動などが紹介されており、企業の取組が成果を挙げている様子がよく分かりました。理系の生徒に限らず、生徒それぞれが興味のある分野でさまざまな体験をすることができました。
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ウ 一日看護体験学習(愛媛大学医学部での医療体験学習)
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9月15日、2年生医療看護系コースの生徒を対象にして愛媛大学医学部附属病院にて一日看護体験を実施しました。生徒たちはナース服に更衣後、それぞれの希望の病棟へ移動し、担当者から看護師としての実践的な業務についてナース・ステーションや病棟等で説明を受けました。実際の医療現場を見ることで、生徒たちは看護師の仕事を肌で感じることができました。午後からは、検査部、耳鼻科外来、ME機器センター、リハビリテーション、栄養部等を訪問し、それぞれの仕事内容の説明を受ました。実習終了後には、生徒たちの顔は充実感に満ちあふれており、病院で働くことの厳しさを知るとともに、今まで以上に看護職等の職業に携わりたいという気持ちが強くなりました。 |
エ 学部学科説明会・学部学科研究会
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1年生は10月25日に「学部・学科説明会」、2年生は7月8日に「学部・学科研究会」を実施しました。「学部・学科説明会」では、大学や短大の先生から学部・学科の概要や研究・講義の内容、卒業後の就職状況等について生徒と保護者を対象に説明をしていただきました。また、「学部・学科研究会」では、生徒が希望する学部・学科に分かれ、大学の先生による専門的な出張講義をしていただきました。本年度は岡山大学・愛媛大学をはじめ、多くの大学から先生をお招きし、専門的な講義を受けることで、生徒の大学への興味・関心を深め、一人一人の進路選択・決定に役立つものとなりました。 |
オ 中央高校サイエンスセミナー
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11月25日、JT生命誌研究館主任研究員の橋本主税先生をお招きして、講演会を開催しまた。講演Ⅰは理数系生徒120名を対象に、「科学的な考え方とは?」という演題で行いました。多くの例を挙げながら様々な角度から科学的な考え方を具体的に示していく講演は、生徒にも先生方にも大変好評でした。講演Ⅱは生物選択生25名を対象とした「両生類の形づくり」と題する講演で、教科書に記載されている内容とは異なる結果を導かれました。生徒は、高校の理科室に備わっている簡易な機材だけでも、丁寧な観察や実験を行うことによって教科書の内容とは異なる大きな発見ができたことに大変驚いていました。 |
(3)まとめ
学力向上チャレンジハイスクールの指定を受け、授業やゼミはもちろんのこと既存の様々な学習活動について再検討を行いました。そして、検討結果を基に生徒の進路に対する知識や理解を深めさせ、進路意識を向上させるために多くの取組を行いました。今年度行った事業については生徒の反応を基に再度分析を行い、来年度の取組に生かしていきます。学力が向上したかどうかは長期的なデータを得なければ判断できませんが、生徒の一人一人の学力向上のために松山中央高校はさらにチャレンジを続けていきます。
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4 川之石高校(総合学科:生物生産系列、福祉サービス系列)【職業教育の充実】 |
(1)研究主題
高齢社会を支える人材の育成 ~農業と福祉の専門性を生かして~
(2)実施内容
ア 外部講師によるリハビリテーションの指導
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福祉サービス系列選択者を対象に介護老人保健施設「長浜ひまわり」の理学療法士、井下ゆかり先生によるリハビリテーション指導を実施しました。起きあがり、移乗、移動、歩行介助など様々な場面に対応した介助方法の実習を行い、介助を必要とする人の身体機能を考慮し、相手が何を望んでいるのかを考えながら介助することが大切であると感じました。 |
イ 外部講師によるフラワーアレンジメントの指導
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生物生産系列選択者を対象に、地域のフラワーショップ「みき園」の店長からフラワーアレンジメントの知識・技術を学びました。指導していただいた技術を基に、生徒は農業クラブフラワーデザイン競技県大会に参加し、優秀賞を受賞しました。 |
ウ 押し花制作
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生物生産系列選択者を対象に、季節の花を用いて押し花の制作をしました。高齢者の福祉施設訪問・交流の際に、この押し花を利用して絵はがきを制作する予定です。そして、出来上がった絵はがきを利用して、更に交流を続けることができればと思っています。 |
エ 高齢者福祉施設(園芸療法)見学
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福祉サービス系列選択者が、園芸療法を実施している高齢者のデイサービスセンター「かまのくら」を見学しました。収穫された野菜を利用し、昼食もみんなで準備していました。園芸療法の手法や園芸療法がもたらす効果を学ぶとともに、人が人と交流し、共に体を動かす素晴らしさを実感することができました。 |
オ 押し花を用いての絵はがきづくり
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福祉サービス系列選択者が、生物生産系列選択者から指導を受け、手作り押し花を用いて絵はがきづくりを練習しました。これなら、高齢者の方も一緒に作ることができる、私たちでも教えてあげることができるのではといった声を聞くことができました。 |
カ 外部講師による介護食の実習
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愛媛調理製菓専門学校から講師を招き、福祉サービス系列選択者と生物生産系列選択者とが合同で介護食に関する知識と実技の指導を受けました。実習を通して栄養のバランスはもちろんのこと、やわらかさや噛み切りやすさなど、食べやすくするための工夫が大切であることを学びました。 |
(3)まとめ
今回の研究指定を受け、生徒に研究テーマや目的を明確に伝え、活動を重ねました。生徒達は単なる知識や技術を身に付けるだけでなく、対象者に配慮しながら、自ら考え工夫し、知識や技術を身に付けようとする態度が芽生えてきています。自らが得た専門的な知識や技術が自分たちの住む地域に貢献できる喜びを感じ、主体的・意欲的に取り組むようになってきました。
今後、これからの地域社会をつくる一員であるという自覚を生徒一人一人に持たせ、高齢者の方にも、これから年をとっていく自分たちにとっても、住みたいと思えるまちづくりを支える態度と実践力を身に付けることができるよう研究していきたいと思います。
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