学校紹介
〜 大きく育て!! もてころ魂 〜
宇和島市立住吉小学校 教諭 藤田 美紀

1 はじめに
 本校は旧宇和島市の中心部に位置する、児童数276名の中規模校で、市街地と海や山に囲まれ自然環境に恵まれた地域を併せもつ学校です。本校は、ちょうどその中間に位置し、学校の前は須賀川と海の合流点であり、その先には宇和島湾が広がっています。児童は、豊かな自然と地域の方々に見守られながら、伸び伸びと学校生活を送っています。

2 本校の教育活動
 「大きな石は俺にもてころ」これは、本校の校訓です。郷土の先人、森岡天涯氏の言葉で、「大きな石は俺に持ってこい、苦しい仕事は俺に持ってこい。」という意味の、ボランティア精神に満ちあふれた言葉です。本校は、この「もてころ精神」を基盤に据え、教育目標である「心身ともに健康で、『生きる力』を身につけた児童を育成する」ことを目指して、家庭や地域と連携しながら教育実践に取り組んでいます。
○気づき、進んで働く子
○自ら学ぶ意欲のある子
○誘って遊ぶ元気な子
 こんな児童に育って欲しいと願いつつ取り組んでいる、日々の実践のいくつかを紹介させていただきます。

(1)全校ボランティア活動
 毎学期に1回ずつ、全校でボランティア活動に取り組んでいます。
 1学期は、地域の赤十字奉仕団の方と連携して、「手つなぎボランティア」と称する活動を行っています。低・中学年は主に校内や学校の周辺を、高学年は近くの公園や沿道などに出向いてゴミ拾いや草引きなどの清掃活動をしています。また、2・3学期は、縦割り清掃班ごとに、班長が中心となって清掃箇所を決め、校内外の清掃を行います。児童は、普段できないような大がかりな清掃活動に一生懸命取り組み、地域や学校がきれいになった満足感を味わっています。

全校ボランティア活動の様子

(2)朝読書

 本校は、平成21年度からの3か年、「互いに認め合いながら思いを伝え合い、高め合う児童の育成 〜読解力を育成する学習活動の工夫と改善〜」をテーマに、研究実践を進めてきました。その取組の一つとして朝読書を行っています。読解力を育てるには、とにかく本を読む習慣付けが大切であると考え、毎朝、始業前の10分間を朝読書の時間に設定しました。児童は、自分の読みたい本を選んでおき、時間がきたら静かに読書を始めるほどになりました。時間を設定することにより、読書の習慣化が図られ、読書好きの子どもが増えました。また、朝だけでなく、休み時間や空き時間にも本を読む児童の姿が多く見られるようになりました。
 また、保護者ボランティアの協力を得て、低学年を対象に月1回、読み聞かせを行っています。子どもたちにとって大変楽しみな時間となっています。

読み聞かせの様子

(3)放課後運動クラブ
 児童の体力づくりや運動の習慣化を図るために、意図的に外遊びの場を設定しています。その一つが放課後運動クラブです。3年生以上の希望者を対象として、原則として放課後、毎日1時間程度、運動をしています。月ごとに主な運動を決め、縄跳びや簡単なサーキットトレーニングといった一人でもできる運動から、リレーや鬼遊び、長縄等の集団遊びなど幅広い運動を取り入れることにより、いろいろな運動をしたり、異学年の友達とかかわりながら遊ぶ経験をさせたりする場としています。こうした経験を通して、体を動かすことの心地よさや友達とかかわりながら遊ぶ楽しさなどを味わってほしいと考えています。子どもたちは、大変楽しみにしており、たくさんの児童が意欲的に参加し、保護者からも好評です。

放課後運動クラブの様子

(4)チャレンジ15
 遊びの奨励のもう一つの取組として、固定遊具やいろいろな遊び道具を使った遊びを児童に紹介し、多様な遊びを経験させることを目的とした「チャレンジ15」を行っています。タイムや回数を競う楽しさを味わえるよう、自分たちでタイムを計ったり、数を数えたりさせ、記録をチャレンジボードに書き込めるようにしています。これまであまり遊ぶことのなかった竹馬や一本下駄にも意欲的に挑戦する姿が見られるようになりました。また、長縄の8の字跳びなどでは、いろいろな学年の児童が交じって一緒になって楽しんでおり、今までにはなかった交流が生まれていることを感じています。
 このほか、ペア学年で遊ぶ日を設けたり、月に1回は子どもたちに大人気の「ロング昼休み」を設定したりして、児童が外で元気いっぱい遊べる環境づくりを進めています。

チャレンジ15の様子

(5)浦項製鐵東初等学校との交流

 本校は、韓国の浦項製鐵東初等学校と姉妹校提携をしています。毎年、和霊大祭の頃、本校へお迎えして交流会を開いています。歌やダンス、楽器の演奏などを披露し合ったり、いろいろなコーナーに分かれて日本の文化に触れ、楽しんでもらったりします。七夕飾りを作ったり、昔の遊びをしたり、「ガイヤ」を一緒に踊ったりする中で、言葉は十分に伝わらなくても、笑顔があふれ、思いがつながっていきます。今年度は、諸事情により、残念ながら交流会は中止となってしまいましたが、今後も交流が続くことを願っています。

浦項製鐵東初等学校との交流の様子

3 おわりに

 心も体も豊かな児童の育ちを願って、日々取り組んでいるところです。しかし、子どもたちの素直な感性や健康な身体づくりは、学校だけでは進めることはできません。子どもたちの心の中に「もてころ精神」がしっかりと根付き、生きる力が培われていくよう、家庭や地域と連携しながら、より充実した教育実践を展開していきたいと思います。
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