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本校は、へき地2級の小規模校である。同じ校舎の1階が岡村小学校、2階が中学校になっており、両校を兼務している。数年前までは、それぞれの学校に校長がおり、校門・玄関も別々で、当然1階にも2階にも校長室・職員室があった。 島の過疎・高齢化が進み、現在小学生7名、中学生5名、教職員も小中合わせて12名という構成である。 本年4月に赴任し、最初の小中合同職員会で、今年度のスローガンを「小中一体」と掲げ、以下のような提案をした。 「小中連携」ということがよく言われるが、連携というと、もともと別々のものがいっしょに何かをやっていくという感じを受ける。また、「小中一貫」は、小学校1年生から中学校3年生まで、系統的に段階をおって進めていくという発想である。本校の場合は児童生徒数が極端に少ないので、学年の発達段階を考えるというよりも、一人一人の児童生徒の発達段階に応じて柔軟に授業を展開していく必要があるのではないか。3年生だから3年生の教科書の内容をするというのは、子ども一人一人に寄り添っていない。あわせて、小学校から中学校へスパイラルなカリキュラムになっていることを考慮して、各教科の特性に応じて他学年といっしょに授業したり、小学生と中学生がいっしょに授業したりして、教え合い、学び合い、互いに切磋琢磨する環境が作れるのではないか。小規模校のデメリットをメリットに変える発想の転換をしていこう。行事を合同で行うということはこれまでもあったが、学校の教育活動のメインはあくまでも日々の授業である。行事と同じような感覚で、学年・学校の枠を超えて、授業を組み立てられないか。昨年度・今年度と小中の教科書が新しくなった今が絶好のチャンスでもある。「チャンス・チャレンジ・チェンジ」という本校の合い言葉を実践に移そう。これから小中の教職員がいっしょに考えていってほしい。 1学期を終えたが、これまでの授業の中で、いくつかの意欲的な試みがなされ、成果が見られた。小中の教職員交流も深まってきた。しかし、ねらいの明確化や評価の問題など、クリアすべき課題も多い。夏季休業中の研修を通して、2学期の授業実践の計画を立てている段階である。 この取組を通しての目標は、もちろん「義務教育9年間を見通した確かな学力の定着と向上」である。ただ、その大前提として、教職員が小中の所属意識を離れて、どれだけ意識を共有できるかが重要になってくる。自分自身も、一昨年度に初めて小学校を経験し、小中の文化・風土の違いに驚きを感じるとともに、これまでの中学校教員としての取組で反省すべき点が多々見つかった。「中一ギャップ」は、制度の問題ではなく、教職員の意識の違いが最大の要因だと思っている。本校の特色を最大限生かして「小中一体」の取組を進める中で、子どもたちの健やかな成長を保障するとともに、教職員一人一人の資質・能力の向上に結びつくことを願っている。 |
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