学校紹介

大洲の端っこ、山の奥 ところがどっこい生きている
大洲市立河辺中学校 松井 康之

1 はじめに
 平成17年に市町村が合併し、大洲市の東端の町になりました。学校は、川沿いの県道から一気に山を登り、標高383mに位置するへき地小規模校です。生徒数はわずか19名。何をやってもコンパクトで、和気あいあいとした学校です。川にはアメノウオやイワナが棲み、学校敷地内にアナグマ、タヌキ、ノウサギ、イノシシが生徒数以上に生息しています。
河辺中学校全景

2 本校の教育活動
(1) 教育実践
 教育目標「自ら学び考え、生き生きと活動する生徒の育成」の下、1自他の存在を大切に思う心の育成、2確かな学力の向上、3地域とのつながりの深化を具体的な目標に、日々教育実践に取り組んでいます。その中のいくつかを紹介しましょう。

ア 授業実践から
ICT活用授業の様子 全国学力・学習状況調査や日頃の実態から、本校生徒の様々な状況をつかみ、出てきた課題を解決するための活動をしています。教科の特性に応じて行っているノートづくりやワークシートの活用、授業評価システムガイドラインに基づいた授業改善、言葉を大切に扱ったりペア学習をしたりするなどの言語活動の充実を意図した各教科での工夫、朝学習の活性化による基礎学力の向上などに全教職員が一丸となって取り組んでいます。まだ十分な成果が出ているとはいえませんが、年度末にはきっと出るだろうと期待をしています。これらの取組は、10月の大洲市へき地交流会で研究発表を行いました。本校HPにもいずれ発表しますので是非ご覧ください。

イ 全員参加の部活動
 部活動は男女ともソフトテニス部しかありません。しかし、この人数でコートが4面、指導者が5人もおり、日々充実した練習ができています。その甲斐あって、毎年、県でも上位の成績を収めることができています。

ウ 野鳥愛護モデル校
 とても自然環境に恵まれた場所に立地するため、校舎周辺にもたくさんの野鳥が顔を見せてくれます。本校は緑の少年団としても活動しており、校舎前庭の通称「ふくろうの森」や屋上、運動場周辺にいくつかの巣箱を設置しています。今年は双眼鏡と野鳥図鑑を充実させ、観察会も開催し、生徒に野鳥を愛護する意識を育てています。


(2) 地域との相互連携

 本校は、現在地域密着型の学校運営を目指しています。年々地域人口も生徒数も減少し、いろいろな地域の会で「活力の維持・向上」「地域の超高齢化」が課題として取りざたされています。そこで、学校をその中核として地域の人と中学生の交流を深めていこうと考えました。今年度は「輝く夢持たせ隊」事業の指定も頂き、地域人材を中学校に招き、いろいろな地域の自然環境や産業伝承を中心に技術や知恵を中学生に伝えることとしました。それを通して中学生には将来の生き方・在り方を考えるとともに、地域に方々への敬意と感謝の気持ちを一層高めることを狙っています。年配者を含めた地域の方には、中学生と交流することでさらに元気になってほしいとも考えています。


郷土料理実習の様子 今年度行った関連行事は、地域の特産物「あまご」や小豆等を使った家庭科調理実習、老人会の皆さんによる社会科での戦争体験聞き取り調査と戦時中の食事試食会、専門家を招いての河辺中周辺の自然環境学習、コンビニの新人教育担当者を招いてのマナー講座、地域に伝わる「せんす踊り」の指導などで、いろいろな専門家の指導により、生徒は様々な分野の、レベルの高い授業を受けることができています。

龍馬脱藩の道ウォークの様子 また、来ていただくだけでなく、生徒も地域行事に積極的に参加するようにしています。本地域で実施されている「龍馬脱藩の道ウォーク」には全校生徒・教職員で参加し、多くの参加者と交流することができました。また、ルートの途中にある給水所等で、地域のボランティアの人に接することで、多数の地域の方々への感謝と人に奉仕することの大切さを感じ取ることもできたようです。さらに、河辺ふれあいフェスタやかわべふるさと祭り、渓流釣り大会、河辺天文台天体観測会などにも多数の生徒が参加しています。


(3) 校内の環境整備
 生徒数こそ19名ですが、約3万㎡の広大な敷地を有しています。校舎や運動場等の面積はその3割程度。あとはほとんど山間の急斜面。校舎内の清掃だけでも正直手一杯で、敷地全般の環境整備はなかなか手が回りきりません。しかし、保護者だけでなく地域の方々のボランティアのおかげで、草刈りも行っていただけ、とても助かっています。最近は、敷地内をイノシシが闊歩し、斜面を荒らすため、あまりにも危険になり、電柵で覆わざるを得なくなりました。本校は、不審者対策だけでなく、イノシシ対策も切実な問題なのです。反面、自然環境は豊かで、校舎周辺を様々な野鳥が飛び回り、快適な環境の中で、自然環境を生かした学校生活が営まれています。


(4) 最近の学校表彰歴

 歴代の生徒及び地域の方々や教職員のおかげで、ここ3年間表彰が続いています。22年度は優良PTA文科大臣表彰、23年度は県の学校安全優良校と併設の給食センターが優良給食センターとして同時受賞。さらに今年は、県のへき地優良学校として表彰されました。本当にありがたいことです。併せて、生徒も部活動での各種大会や作品出品での入賞等でたくさんの賞状を得ていて、掲示するところに困るほどうれしい悲鳴を上げています。



3 おわりに
 大洲の端っこ、山の奥の小さな学校ですが、へき地小規模校のデメリットを最大のメリットとして、日々力強く取り組んでいるところです。今後も、豊かな自然環境の下、地域の皆さんと一緒に、一層充実した教育実践を展開し、先の見えにくいこれからを、力強く生きていける生徒を育成していきたいと思います。


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