本校では、この方針を受け、久万高原町の次代を担う本校生徒に対し、地域を見つめ、地域の中での自分の役割を自覚し、積極的に地域に関わろうとする心情や態度を育てたいと考え、地域を意識し地域の中で学ぶ教育活動に取り組んでいる。本校の財産として現職員室が受け継ぎ、改善を加えながら実施している取組を少し紹介したい。
1年生の「集団宿泊研修」。地域の中で学ぶ2泊3日の宿泊研修である。町外で実施していた宿泊研修を見直し、「校区内にある寺の宿坊を使用してはどうか。」というアイディアからスタートした。これを核にして久万高原町を意識し、町内の施設利用や人材活用、自然や歴史・文化等の学習を進めている。今年度は、学びの場を柳谷・美川地区にも広げ、水力発電所や八釜の甌穴群・上黒岩岩陰遺跡の見学も行った。
2年生の「3出会いウィーク」。連続5日間の勤労体験である。兵庫県南淡町の「トライやるウィーク」視察後に実施検討委員会を立ち上げ、家庭・地域社会・関係機関等の理解を得て平成12年度から実施している。「3出会いウィーク」とは、社会人として生活する中で、①新しい世界との出会い、②他者との出会い、③自分自身との出会い、の3つの出会いを体験する1週間である。活動スタート時の教職員は異動したが、ねらいは確実に受け継がれ、細部に改善を加えながら実施し成果を上げている。今年度は、町内の23事業所に受け入れて頂いた。
全校生徒の「伝統文化体験講座」。久万高原町や日本の伝統・文化についての体験講座である。体験の内容は家族や地域の方にも大勢見に来て頂き文化祭の中で披露した。昨年度は、地域の伝統・文化や地域の講師を中心に選定し12講座を開設した。一人の教員が1講座を担当し講師の依頼や講座の運営などにあたった。実施後、講師の方から頂いた感想には、「自分自身が身体を使ってやることは、心に残るはず。いずれ誰かが、後継者へ伝える立場になる者が出てきたら最高である。」「大変でしたが、生徒たちの笑顔を見ていると引き受けてよかったと思いました。」など、地域の思い・願いが込められていた。
年間を通じ、様々な教育活動に取り組んでいるが、その取組の多くは、個人が経験や研修をもとに温めていたアイディアを核として企画がスタート。その後、組織の力で計画を練り上げて実施。さらに財産として次代の職員室に繋いだものである。職員室のメンバーは毎年替わるが、チームとして一人一人の持ち味が発揮され、未来を目指し力を合わせ努力する久万中職員室でありたいと思っている。
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