本年度新規事業

いじめSTOP愛顔の子ども会議
人権教育課

平成25年8月20日に東予地区、21日に中予地区、22日に南予地区において、県内中学校の各校代表生徒250名が集い、愛媛大学教育学部共催のもと「いじめSTOP愛顔の子ども会議」を開催しました。
 この会議では、参加した生徒一人一人が主役となり、「みんなが愛顔の学校づくり」の実践化に活かそうと、いじめ防止のための取組の発表(代表校)、中学生パネリストによるシンポジウム、グループでのエクササイズとディスカッションを行い、「いじめをなくすために私たちは何をすべきか」について考えを深めました。

子ども会議概要

いじめ防止のための取組の発表の様子いじめ防止のための取組の発表

 東予は、新居浜市立泉川中学校、今治市立朝倉中学校、中予は、松山市立東中学校、愛媛大学教育学部附属中学校、南予は、大洲市立大洲北中学校、松野町立松野中学校が、「私たちが、いじめ根絶のために取り組んでいること」について発表しました。


中学生パネリストによるシンポジウム

 パネリストの自己紹介の後、全員で「いじめ」とは何かを確認しました。「いじめを発見しやすい人は誰か」では、「クラスで一緒に生活している生徒」という意見や、「いじめは、先生に分からないようにするので、先生は気付きにくい」「何かよくない雰囲気は、身近な先生は感じている」「親に心配をかけたくないという気持ちから、親には言わない」という意見が出されました。

中学生パネリストによるシンポジウムの様子

「いじめを解決できる人は誰か」では、「クラスのみんなで話し合う」「いじめがエスカレートする前に、早く気付いた友達が、加害者や先生に言う」「先生に話すと、いじめはひどくなって解決できない」「学校で行っているアンケート調査では、本当のことは書かない」「ねじれた人間関係を元に戻せるのは先生」といった意見が出されました。

 「いじめの構造から観衆・傍観者を考える」では、「被害者は、傍観者や観衆に囲まれて先生や親から見えない」「傍観者の中には、いじめをやめてほしいと思っている人がいる」「私が被害者に寄り添う人になる」などから、いじめSTOPのイメージへと生徒の意識が変容していきました。

中学生パネリストによるシンポジウムの様子

 フロアにいた生徒たちも、うちわを挙げて意思表示を行い、パネリストと一緒になってテーマについて考えました。

 「ネット上のいじめについて」は、「文字だけのやりとりでは、誤解を生む場合がある」「一度にたくさんの友達と交流できるのはいいところ」「友達がこれを読んだらどう思うかを考える必要がある」「個人情報を守ることやネットのマナーを知って携帯機器は使うべき」といった意見が出されました。


 最後に「私たちにできること、しなくてはならないこと」についてでは、「いじめはいけないと本気で思って行動できる最初の人になりたい」「人を大切にする気持ちをもつことが一番」「早期に発見して早期に解決させることが大事」「学校で今日のことを報告し、自分たちが中心となって行動していきたい」「学校に持ち帰り、いじめについて考える集会を企画したい」などの意見が出され、シンポジウムを締めくくりました。

グループでのエクササイズとディスカッションの様子グループでのエクササイズとディスカッション

 一班が6~8名の班を構成し、課題解決に取り組みました。中学生たちは、初めて顔を合わせたこともあり、緊張した面持ちでしたが、愛媛大学教育学部太田教授による握手を用いた自己紹介を行うと、すっかり打ち解けた様子でした。

 エクササイズでは、冬山で遭難した場面を想定し、あらかじめ準備された下記のものを各班が話し合い、最も重要なものを①とし、いちばん役に立たないものを⑩というふうに順位付けをしていきました。ほとんどの班が「食料が一番大切だ」と結論付けたうえで発表された雪山登山専門家の答え。それは、体を冷やさないために雪洞を作る道具であるのこぎり。このときは、会場から大きなどよめきがありました。リーダーの存在は大切であるが、いかに一人一人の意見を聞き入れ、みんなで課題解決に向けて考えていくかが、活動のポイントでした。

中太ローソク

チョコレート(中) 5本

磁石(コンパス) 1個

マッチ 1箱

米 3㎏

2万5000分の1の地形図

ノコギリ(大) 1本

1.8m×3.6mのマット 1枚

非常食 10食分

替え靴下 7足


グループでのエクササイズとディスカッションの様子

 その後のディスカッションの「いじめが起きる原因」では、「軽い気持ちや冗談など些細な言動がきっかけになる」「嫉妬心」「集団と孤立が生まれる環境や雰囲気がある」「加害者のストレス発散」「互いを認めようとせず、短所ばかりを指摘する」などの意見が出されました。

 「いじめを防ぐために、何をすればよいか」では、「一人一人の個性やよさを認める」「みんなでいじめが起きない雰囲気づくりをする」「友達とのコミュニケーションを大切にする」「いじめは絶対に許さないという意識をみんながもつ」「人権劇をする」「あいさつ運動、スポーツ、合唱などみんなで何かに取り組む」などの意見が出されました。一人一人の生徒がいじめ問題にしっかりと向き合って考えを深め、自分自身を見つめ直すとともに、他校の仲間と意見交換や演習を行うことで、いじめ撲滅のリーダーとしての自覚が高まっていきました。

 この会議の後、各学校では、参加した生徒が中心となり、報告会を行ったり、いじめ防止に関する標語を発表したり、人権集会を開いたりする取組を進めているという声を聞きます。今後、中学生から愛媛県全体に広くいじめ撲滅のメッセージを発信してくれることを期待しています。

※この会議の詳細については、「えひめ愛顔の子ども新聞」として、11月下旬に県下中学校全家庭に配布します。また、人権教育課ホームページでも、配信を予定しています。