学校紹介
~キャリア教育に取り組んで~



松前町立松前小学校 教諭 大原 美保

1 はじめに

 本校は、全校児童770名の大規模校です。児童は明るく元気で、のびのびと楽しく学校生活を送っています。人懐っこい児童が多く、地域の方との交流も活発で、各学年や学級で様々な交流学習を実施しています。
 平成23年度、24年度と、県より2年計画による学校力アップ実践研究事業の指定を受け、キャリア教育の視点から研究を進めました。本年度は、昨年度までの研究を継続・発展させてきました。確かな学力を身に付けるとともに、いろいろな人との関わりを通して将来に夢や希望をもち、課題解決に向かって最後までやり抜こうとする児童を育成したいと考え、「人と関わる体験活動の充実」、「基礎学力の定着」、そして「コミュニケーション能力の育成」の三つの視点から、様々な取組を行っています。その様子をいくつかご紹介します。


2 具体的な活動
(1)人と関わる体験活動の充実

 人と関わる体験活動の充実を目指し、各学年で、保護者や地域の方と触れ合う活動を計画しました。その触れ合いの中で、様々な仕事があることに気付かせたり、働くことの意義について理解させたりしたいと考えました。

 2年生では、生活科の学習で町探検を行いました。地域のいろいろな場所や自然、人々などに関心をもち、探検を通じて直接関わることでそのよさに気付くことをねらいとしています。年2回実施していますが、11月に行われた町探検では、人とじっくりと関わることを目的に、選んだ探検先でインタビューしたり自分ができるお手伝いをしたりしました。クリーニング店を訪れた児童は、クリーニングの仕事についてインタビューするとともに、ワイシャツへのタグ付けを体験させてもらい、店員さんがどのような思いで仕事をしているか気付くことができました。幼稚園を訪問した児童は、自分の好きな絵本を園児に読み聞かせし、園児と触れ合うことができました。
2年生 クリーニング店の仕事 体験中 2年生 幼稚園で絵本の読み聞かせ
2年生 クリーニング店の仕事 体験中

2年生 幼稚園で絵本の読み聞かせ



 5年生では、総合的な学習の時間に、4年生で学習した「1/2成人式」を受け、「将来の夢に向かって」という単元を設定しています。どのような仕事があるのか調べたり、仕事をされている身近な方々に直接話を聴いたりすることにより、仕事に対する思いやこだわり、目標を知り、児童の将来の生き方に生かしていきたいと考えています。今年度は、将来の自分の夢に向かって努力していこうという気持ちをもたせるために、愛媛マンダリンパイレーツの選手をゲストティーチャーとしてお招きし、児童とのパネルディスカッションを行いました。選手の方々は、夢に向かって努力することの大切さや、困難も乗り越えていくことができる夢への思いなどを熱く語ってくださいました。児童は、「大変でも、自分の目標をもって生きていきたい。」「憧れの職業についてもつらいことはあるんだ。でも、それを乗り越えていける強い力をもちたい。」といった思いをもつことができ、とてもよい経験となりました。
5年生 パネルディスカッション

5年生 パネルディスカッション


(2)基礎学力の向上

将来の児童を支える確かな学力を身に付けさせるために、基礎学力の向上を目指しました。「家庭学習の手引き」、「ノート名人になろう(ノート記録の手引き)」を活用して、指導を進めています。
 「家庭学習の手引き」は、家庭での学習方法や目標時間を示したもので、児童向けのものと保護者向けのものを作成し、主体的に家庭学習に取り組むことができるようにしました。
 「ノート名人になろう」は、国語科、算数科を中心に、基本的なノートの使い方を明示し、学習した内容がよく分かるノート記録をさせるために作成しました。算数科のノートについては、毎月学級ごとに学習の流れがよく分かるノート記録をしていた児童を「月間MVP賞」に決め、ミニ賞状を出したり教室にコピーを掲示したりして賞揚しています。教師自身も分かりやすい板書をするよう心掛けることで授業の流れが整理されるとともに、児童にきちんとしたノート記録をとろうとする意識が芽生えてきています。
 また、学習の基礎となる漢字を読み書きする力を身に付けさせるために、学期ごとに「全校一斉漢字100問テスト」を実施しています。たくさんの漢字を覚えるためには、学習したときにきちんと身に付け、繰り返し覚えていくことで定着させていくことが大切です。そこで、各学期に学習した漢字を中心に各学年100問のテストを作成し、全校で同じ日に実施しました。この取組も3年目となり、努力の結果が確実に現れることで、児童は意欲をもって漢字練習に取り組んでいます。


(3)コミュニケーション能力の育成

 児童のコミュニケーション能力を育成するために、縦割り活動やきょうだい学級での交流活動を進めています。縦割り集会や昼休みの縦割り遊び、きょうだい学級での朝読書の読み聞かせ活動などを行ってきました。
 今年度は縦割り給食を取り入れ、2か月に1回程度、きょうだい学級で交流給食を行いました。1回目の交流給食では他学年の児童との会食に緊張を感じていた子どもたちも、回を重ねるごとに打ち解け、会話も弾むようになってきました。交流給食後の昼休みには、異学年の児童と互いに誘い合って遊ぶ姿も見られました。
 昼休みには、運営委員会が自由参加のミニ集会を開いています。学期に1回程度行われ、きょうだい学級の児童でグループを作って参加できる集会で、毎回、200人を超す児童が参加しています。2学期に行われた「紙飛行機集会」は、きょうだい学級で5人のグループを作って参加、自分が作った紙飛行機を飛ばして、グループ全員のとんだ距離を競うという集会でした。グループごとに作った紙飛行機の折り方を確認したり、上学年が下学年の児童を励ましたりする姿も見られ、交流を深めることができました。
  また、毎月1回、朝の時間を「なかよしの日」に設定し、コミュニケーションスキルを学ぶ活動を行っています。児童はロールプレイやエクササイズ、ゲームなどを通して自分や友達のよさに気付いたり、具体例を基にみんなで解決の方法を話し合ったりしました。

1年生・6年生で交流給食 紙飛行機集会

1年生・6年生で交流給食

紙飛行機集会

3 おわりに
 以上のような三つの視点からの取組を通して、本校が目指す、「豊かな心をもち、自ら学び実践する児童」を育成していきたいと考えています。人に積極的に働きかけながら、よりよい生き方を見つけ、自分の夢や目標に向かって努力する児童が育つよう、今後もいろいろな活動に取り組んでまいります。