本校は私が中学校時代の3年間を過ごした場所です。数年前、宇和島市中心部の学校に勤務していたときに、宇和海中学校を統合する計画があるということを新聞の報道で知り、私は宇和海中学校で勤務することを強く希望するようになりました。
念願かなって一昨年度の4月、本校に転勤となりました。新任式で24年ぶりに校歌を歌ったときは、ついに帰ってきたんだという思いがこみ上げ、何とも言えない喜びがありました。それまでの勤務校では一クラス30人以上が当たり前だったのですが、本校にきて初めて20人以下のクラスで授業をするということを経験しました。生徒たちはとても素直で明るく、授業では積極的に挙手し、意見を発表する生徒が多くいて、私もその意見を楽しみながら授業を進めることができます。しかし中には指名されないと意見を言わない生徒や、指名されても自分の意見に自信をもてない生徒もいます。校内での授業研究や学校訪問の授業公開で、諸先輩方からいろいろな助言をいただいた中に、少人数クラスのよさをもっと生かすべきだというものがありました。先生がしゃべりすぎだ、もっと生徒にしゃべらせよう、というのです。それから私は、どうせしゃべらせるのなら、クラス全員にその機会を作らなくては、と思うようになりました。
私は社会科を担当しています。先日、3年生の公民的分野で、「対立と合意」「効率と公正」の考え方について学習をしました。マンションの住人が夜間の街灯を省エネのために消灯すべきか、安全のために点灯すべきかという二つの立場に分かれて対立している、という設定で、生徒に解決の方法を考えさせました。何人かの生徒が効率の観点と公正の観点からそれぞれ意見を述べましたが、そのとき挙手をしてなかったA子がノートにたくさん書き込んでいたのに気づきました。私はA子を指名し、書いていることを発表するよう言いました。A子は「センサー付きのライトをつければいい」と言いました。それを聞いた周りの生徒はその意見に感心して「おぉ!」という声を上げました。A子は決して社会科が得意な生徒ではありませんが、一生懸命考え、答えを出しました。そしてそれを周りの生徒も認めました。とても温かい空気に教室が包まれた瞬間だと感じました。しかし、授業の中でまだまだ私が拾えていない意見がたくさんあると思います。授業でできるだけ全員に意見を出させ、生徒に自信をつけさせていきたいと思います。
本校の部活動には軟式野球部、女子バレーボール部、男子卓球部、総合文化部の四つの部があります。私は昨年度までの2年間、軟式野球部を担当してきました。昨年度の部員数は14名、3年生が引退してからは9名で活動していました。部員たちの多くは小学生の時に地域の方が教える遊子クラブジュニアで丁寧に野球を教わり、中学校に入ってきます。放課後や休日の練習には保護者や地域にすむOBが教えに来てくれます。私も本校野球部のOBですが、高校野球の経験はなく、知識も乏しいため、地域の方々の協力は大変ありがたいのです。2年間で四度、県大会に出場することができたのも、生徒のがんばりと地域の力のおかげだと思っています。そのような地域にある母校で部活動ができる自分は大変幸せです。
今年四月から私は女子バレーボール部を担当することになりました。部員は6名で、3年生が引退して新チームは5名になりました。総合文化部の協力を得て、新人戦は出場し、1勝することを目指して練習しています。私自身バレーボール部の指導は初めてで、いろいろな方に教わりながら指導しています。部員と一緒に、試合に勝つ喜びを味わうため、これからも頑張ります。
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