特集
歴史文化博物館新常設展「密●空と海」展示更新
~和紙彫塑による弘法大師空海の世界~
生涯学習課

美術館企画展「金沢翔子書展」開催報告
文化財保護課

高校生自転車交通マナー向上対策事業~ヘルメット着用義務化について~
高校教育課

愛媛県教育振興に関する大綱について
教育総務課


歴史文化博物館新常設展「密●空と海」展示更新
~和紙彫塑による弘法大師空海の世界~

 愛媛県歴史文化博物館では、平成24年度に、高い芸術性で国際的評価を得ている和紙彫塑家・内海清美氏の作品を展示する新常設展「密●空と海」を開展し、弘法大師空海の生涯を紹介しています。現在は幼年期から青年期までの9場面を展示していますが、9月19日(土)からは高野山金剛峯寺の建立など、空海の活躍を紹介する後半生10場面への展示替えを予定しています。作品には大洲や川之江など四国の伝統的な和紙が用いられ、さらには音響やLED照明により魅力的な展示空間を演出しています。9月19日(土)10:30から内海清美氏ご本人よるオープニングトークも予定していますので、ぜひ博物館にご来館ください。
 
 
 怨霊を鎮める空海  庶民教育の先駆者・空海
   
 高野山金剛峯寺の建立  三筆(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)
 
美術館企画展「金沢翔子書展」開催報告
 平成27年6月11日から7月20日まで、愛媛県美術館で開催した「金澤翔子書展―三十歳、新たなる世界へ」では、ダウン症の書家・金澤翔子氏が30歳を迎えるのを記念して、《共に生きる》《飛翔》《平清盛》などの代表作やライフワークである般若心経作品などをはじめ、本展のためだけの書き下ろし作品も多数展示しました。

会期中には、美術館や松山市内の小学校で金澤氏本人が席上揮毫なども行いました。母親の金澤泰子さんや師匠の柳田泰山さんを交えたトークショーに加え、翔子さんの歌や踊りなども披露され、楽しく和やかな雰囲気でした。写真は、展覧会の展示の様子と、6月14日に美術館で行った揮毫の様子、6月29日に味酒小学校と姫山小学校で行った揮毫作品と子どもたちのコラボレーション作品です。

   
   
  
高校生自転車交通マナー向上対策事業
~ヘルメット着用義務化について~
 
~はじめに~
 昨年、県立高校では、自転車通学中の頭部損傷による死亡事故が2件発生し、尊い命が奪われました。このことを受け、保護者の方々から、子どもの命を守るためヘルメットを着用させてほしいとの強い要望があり、県立学校の校長会において、ヘルメット着用を自転車通学等の許可条件とすることを決定しました。今年度におけるヘルメットの購入については、県立学校PTAが加入している(一財)愛媛県教育振興会が購入支援を決定したことを受け、併せて県からも補助を行うことにより、自己負担なしで購入できることとなりました。
 7月1日の着用に至るまでの取組を紹介します。
 
1 ヘルメットデザイン検討委員会
○日 時 平成27年2月6日(金)14:00~16:00
○参加者 県立高校生10名、中等教育学校生6名、引率教諭9名、ヘルメットメーカー(OGK)開発担当者等3名、県教委 高校教育課長 他9名
○場 所 県総合教育センター(松山市上野)
 
 
2 生徒対象地区別ヘルメット着用推進会議

○日 時 平成27年3月24日(火)9:00~16:00
○参加者 全ての県立学校の代表生徒男女各1名及び教員 計180名
○場 所 県総合教育センター(松山市上野町)
○内 容 (株)OGKカブト開発担当者による講演、研究協議  
3 ヘルメットポスター及び啓発パンフレットの制作および配布

○配布先  全ての県立学校、県庁内各部署、マスコミ各社、警察関係、県関係施設等     ○ポスター 
松山南高校砥部分校デザイン科の生徒による制作
 
伯方高校の生徒による制作
 
○啓発パンフレット
今治工業高校繊維デザイン科の生徒による制作
 
三島高校商業科の生徒による制作
 
4 ヘルメット発注完了

2、3年生分(2月末)、新入生分(4月初旬)の2回に分けて採寸
29,000個の内訳は男子(白色5,000個、黒色10,000個)、女子(白色6,000個、濃紺8,000個)
5 教員対象のヘルメット着用推進のための研修会
○日 時 平成27年4月23日(木)10:30~16:00
○参加者 全ての県立学校の生徒指導主事及び女子教員各1名、私学教員各1名 計150名  ○場 所 愛媛県庁
○内 容 (株)OGKカブト社員及び自転車新文化推進室長による講演・実演並びに研究協議
6 ヘルメット贈呈式

○日 時 平成27年6月30日(火)放課後等
○場 所 全ての県立学校
○内 容 
高校教育課長挨拶 
「生徒の無事を祈る沢山の人の思いや願いが結実して、ヘルメット無償配布という今日を迎えられて感慨も一入です。皆さんには、感謝の気持ちを忘れることなく、ヘルメット着用という新しい習慣を、楽しみながら定着させてほしいと願っています。ヘルメット着用の先達として、周囲の皆さんへはもちろんのこと、サイクリストの聖地『しまなみ海道』を有する、この愛媛の地から、全国の皆さんに自転車の新しい文化を発信してください。」

一般財団法人愛媛県教育振興会理事長 泉谷睦美氏
「命を守るヘルメットを贈呈します。」

生徒の感想
「始めは少し抵抗感もあったが、交通ルールを守り、模範になりたい。」
「思っていたより軽いし、スマートなデザインで、これなら抵抗なくかぶれそう。」
「部活でラグビーをしていたので、ヘッドギアと同じで気にならない。」
「自分の命は自分で守る意識を育てたい。」
 
~おわりに~
7月1日から着用が開始されました。この取組を通して、高校生の安全意識が高まり、事故が未然に防止されるとともに、生涯にわたって交通マナーを守る社会人として成長するよう願っています。また、多くの尊い命を守るためにも、この取組が全国へ広がることを期待します。
 
愛媛県教育振興に関する大綱について

http://ehime-c.esnet.ed.jp/soumu/sougoukyouikukaigi/08taikou.pdf

1 はじめに
 「愛媛県教育振興に関する大綱」は、今年4月から施行された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正法に基づき、知事が、教育、学術、文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や根本となる方針を定めたものであり、民意を代表する知事が教育に関する大綱を策定することにより、地域住民の意向の反映とともに、教育振興に関する施策の総合的な推進を図ろうとするものです。
 本県では、教育振興に関する大綱を、教育振興への考え方や基本的な方向性を、知事が県民に対して示すものとして、去る5月26日に開催された総合教育会議
http://ehime-c.esnet.ed.jp/soumu/sougoukyouikukaigi/07gijiroku270526.pdf
での協議を踏まえ、教育に関する最上位の方針として新たに策定しました。
なお、大綱の名称にある「教育」という言葉には、「教育、学術及び文化」という幅広い概念を含んでいます。
 大綱の内容については、知事と教育委員会が、政策の方向性を共有し、連携して教育行政の執行に当たることができるよう、知事の公約や県長期計画等との整合を図るとともに、文化、スポーツや私学振興など知事部局において所管している教育分野も対象としており、期間は、平成27年度から30年度までの4年間としています。
2 大綱の構成について
 大綱は、大きな将来像を示している前文、6つの振興方針と、振興方針ごとに整理した本文とで構成しており、本文では、振興方針ごとに「在るべき姿」「課題」「目指す方向」について記述しています。 また、全体を通して、幅広い世代の県民に対してわかりやすく、柔らかな表現に努めています。
 
愛媛県イメージアップキャラクター
みきゃん
 3 大綱の内容について
(1) 副題
 「愛顔(えがお)でつなぐ学びの未来」という副題を付しています。この副題は、学校・家庭・地域が愛顔でつながり、一体となって、社会総がかりで子供たちの教育を支え、次代につないでいき、子供たちの明るい未来を拓いていくという意気込みを表現しています。
 
(2) 前文
 愛媛県が目指す社会の将来像として、

① 地域全体で子どもたちを育んでいくイメージとして、「愛情豊かな地域社会の中で、子どもたちが、時には厳しく指導され、時にはやさしく手を差し伸べられながら、周りに必要とされていることを実感し、幸福感を抱き、夢に向かって伸び伸びと成長している。」社会
② 子どもたちが知・徳・体バランスよく成長し、生きる力を身に付けていくイメージとして、「子どもや若者が、それぞれの個性を大切にしながら、確かな学力・豊かな心・健やかな体をバランスよく育み、生きる力を身に付けるとともに、社会の中で果たすべき役割や責任を自覚し、たくましく挑戦している。」社会
③ 幅広い世代が充実した生活を送り、次世代にしっかりとつないでいくイメージとして「誰もが、生涯にわたり自分の目標に向かって学習に励む機会を得られ、自己の成長と暮らしの充実を実感するとともに、豊かな文化を次世代へ引き継いでいる。」社会

 という3つの姿を提示し、このような社会を実現することにより、県民一人ひとりが、ふるさとに誇りと愛着を持ち、地域課題の解決に果敢に挑むような活力ある愛媛県を創生すること、特に、一人ひとりに輝く愛顔があふれる社会を目指して、平成27年度から30年度を対象期間とする本県の大綱を定め、市町や関係団体等と連携しつつ、「挑戦・実行・現場主義・オール愛媛」を基本姿勢として、県民の皆様とともに、教育、学術、文化、スポーツの振興に取り組んでいくという強い意思を、力強く宣言しています。
 
(3) 振興方針
 教育振興のための基本的な方向を示す6つの振興方針を設定しました。 まず、教育を支えるソフト・ハード両面にわたる支援体制や教育環境づくりに関する方針として、「1 学校・家庭・地域が連携した教育の推進」と「2 安全・安心な教育環境の整備」を、次に、教育振興に取り組む施策の方針として、「3 未来を拓く子どもたちの育成」、「4 特別支援教育の充実」、「5 人権・同和教育の推進と児童生徒の健全育成」、「6 生涯学習の推進と文化・スポーツの振興」を掲げました。
 
(4) 本文
 本文では、6つの「振興方針」について、それぞれ「在るべき姿」、「課題」、「目指す方向」を記載しています。
 
①「学校・家庭・地域が連携した教育の推進」  
「学校、家庭、地域が連携・協働し、社会総がかりで、未来を担う子どもたちの健やかな成長を支援している」状況を在るべき姿として提示し、その目指す方向として、「創意工夫を生かした学校づくりや家庭、地域の教育力の向上、学校、家庭、地域、企業等が連携した子どもたちの健やかな成長、さらに、大学等との連携、保育所・児童館など福祉分野との連携、私学振興」を掲げています。
 
②「安全・安心な教育環境の整備」   
「子どもたちにとって、安全・安心で、充実した学びの場が確保されている」状況を在るべき姿として提示し、その目指す方向として、「家庭や地域と連携した学校安全対策の充実、学校の耐震化のほか、防災士の資格取得等による教職員の資質向上、さらに、防災教育や交通安全教育などを通じて、自らの命は自ら守ろうとする主体的な態度を育成していくこと」を掲げています。
 
③「未来を拓く子どもたちの育成」
「自信を持って生き生きと勤務する教職員に見守られながら、知・徳・体のバランスがとれ、たくましく生きる力を身に付けた子どもたちが育まれている」状況を在るべき姿として提示し、その目指す方向として、「子どもたちの確かな学力の定着と向上、東・中・南予の豊かな自然や産業特性を生かした体験活動、郷土愛やグローバルな視野を養う教育の推進、道徳教育、情報教育や環境教育、キャリア教育などの充実のほか、読書習慣や食習慣、運動習慣の確立など、子どもたちの望ましい育成に関する方向性、さらに、教職員の能力や倫理観の向上に加え、自信を持って教壇に立ち、明るく安心して働くことができる職場づくりの推進」を掲げています。
 
④「特別支援教育の充実」    
「障害のある子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導・支援により自立と社会参加が図られている」状況を在るべき姿として提示し、その目指す方向として、「障害のある子どもたちが安心して学ぶことができる学校環境づくり、特別支援教育における教職員の資質向上、学校や家庭、地域、関係機関が連携した支援体制の整備、早期からのキャリア教育の推進、就学前からの教育相談体制づくり、さらに、障害のある子どもとない子どもの相互理解の促進や地域住民に対する特別支援教育の啓発」を掲げています。
 
⑤「人権・同和教育の推進と児童生徒の健全育成」
「いじめや差別、児童虐待等について、県民一人ひとりが主体的に考え、互いの人権を尊重して行動している」状況を在るべき姿として提示し、その目指す方向として、「差別・偏見の解消に向け、教育の中立性を確保しつつ人権・同和教育を進めるとともに、児童生徒が主体的に取り組むいじめの未然防止や、体系的・組織的な取組み、不登校など生徒指導上の課題に対応する学校支援体制の充実、さらに、福祉・医療・警察など関係機関と連携した児童虐待へ早期対応」を掲げています。
 
⑥「生涯学習の推進と文化・スポーツの振興」
「生涯にわたる自発的な学びや生涯スポーツ・文化との触れ合いを通じて、地域に誇りと愛着を感じている」状況を在るべき姿として提示し、その目指す方向として、「生涯にわたり学びたいときに学べる学習環境の整備と、学びの成果を社会に役立てる生涯学習社会の創造、幅広い世代の県民が、文化・芸術・スポーツに気軽に親しめる環境づくり、さらに、オリンピックなどの国際舞台で活躍する選手を夢見て頑張る子どもたち、トップレベルで活躍する選手などトップアスリートの育成や、新しい愛媛文化の創造を担う人づくり、文化財を活用した地域活性化」を掲げています。
 
 県教育委員会では、このような大綱の趣旨を踏まえ、従来にも増して知事部局との連携を密にしつつ、学校、家庭、地域、企業等と連携・協働を深めながら、本県の教育振興に取り組んでまいります。