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ESD環境教育プロジェクト事業 |
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本事業は、高校生が、現代的、社会的な課題に対して地球的な視野で自らの問題として捉え 、身近なところから取り組むことのできる、持続可能な社会づくりの担い手として必要な 能力・態度を育成するための教育である、ESD( Education for Sustainable Development )環境教育を実践するための推進事業です。
地域の環境に関する諸課題への取組を通して、生徒に自ら考え、判断し、他者と協力しながら解決に向け て行動する能力を身に付けさせ、持続可能な地域づくりを担う人材の育成を図ることを目的としています。
実施にあたっては、「環境教育推進校」9校(東・中・南予各3校)が各地域のESDアドバイザー (大学・研究機関等)の指導・助言に基づいて活動を行います。 また、推進校は、研究成果中間報告会を東・中・南予の各地域で実施した上で、 随時、研究成果を自校のホームページに掲載、成果をとりまとめて冊子にしたり、 県内の高等学校等に配布したりするなどして、研究報告を行っています。 |
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〈推進校〉 |
新居浜東高校 新居浜南高校 新居浜工業高校
東温高校 上浮穴高校 長浜高校
野村高校 宇和島水産高校 三間高校 |
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新居浜東高校 |
(1)研究主題 |
Think Globally, Act Locally from 東校 |
-地域社会と日常社会に密着した、環境意識を高める試みについての実践- |
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(2)主題設定の理由 |
生活意識やライフスタイルの在り方について高校生の目線で身近な事項を取り上げ、他者とつながり、 問題解決を繰り返すことが、多様な今日的課題の解決につながることを実感させる。
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(3)実施内容 |
ア 家庭科の各科目や家庭クラブ活動における、年間を通して環境意識を醸成する取組の工 夫
イ ダンボールコンポストの紹介・普及活動による生ごみの削減
ウ かぼちゃとゴーヤを使用したスイーツの研究(カンボジア支援、保育所との交流)
エ 地域の諸団体(市役所・保育所・作業所等)との連携 |
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(4)活動の様子 |
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ダンボールコンポストについての
新居浜市役所ごみ減量課の指導 |
地域・国際研究部による
かぼちゃスイーツの販売 |
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(5)生徒の感想 |
○どんな活動も継続することが大切だと思う。一つ一つの取組は小さくても継続することで活動の輪を広げたい。 |
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(6)今後の取組 |
○普通科高校としてできる、日常生活に密着した等身大の活動を今後も工夫していきたい。 |
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新居浜南高校 |
(1)研究主題 |
ESDあかがねプロジェクト |
~別子銅山・環境問題と戦った先人たちの知恵に学び行動する~ |
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(2)主題設定の理由 |
別子銅山は世界に誇る環境対策を行い、新居浜を自然と産業が調和した四国屈指の工業都市へと発展させてきた。 環境問題をはじめとする、先人たちの様々な困難との闘いの足跡を学び、行動を起こすことによって、
持続発展可能な地域社会を担う人材の育成を図るとともに、地域の活性化にもつなげたい。 |
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(3)実施内容 |
ア 中学高校連携事業「別子銅山を学ぼう!」
イ 産業観光「あかがねの道スタディーツアー」
ウ 図書館学習会「別子銅山を学ぼう!」
エ 産業社会と人間「別子銅山近代化産業遺産フィールドワークin旧広瀬邸訪問」
オ ライフスタディⅠ「別子銅山 近代化産業遺産フィールドワークin山根エリア」
カ 地域での活動報告会やパネル展
キ ESDパスポート(ボランティア記録手帳)説明会など |
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(4)活動の様子 |
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中学校の出前授業 |
フィールドワーク |
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スタディーツアーでのガイド |
ESDパスポート説明会 |
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(5)生徒の感想 |
○自分たちも、きれいな新居浜や別子を大切にして残していきたいと思った。
○先人が問題を克服するためにあきらめずに挑戦した姿勢はすばらしいと思った。
○「上下円融」の気持ちで、利益だけでなく、人のことを第一に考えていてすごいと思った。 |
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(6)今後の取組 |
○オーラルヒストリー活動の充実
○小・中・高校の更なる連携
○産学官を巻き込んだ企画・運営による情報発信の多様化 |
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新居浜工業高校 |
(1)研究主題 |
微生物を利用した環境保全教育に関する研究 |
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(2)主題設定の理由 |
これまでの微生物研究成果を基礎にして、環境保全教育を発展させる。 |
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(3)実施内容 |
ア シイタケ廃菌床を活用した染料脱色教材の開発
生徒の研究成果をもとに、実際に協力会社で生徒が研修を受けながら教材開発を進めた。協力会社からの発売を予定している。
イ ペットボトルラベルを活用した栞作りの普及活動
本校の理科の授業や工業科のリサイクル実習で実施し、科学の祭典で普及活動を行った。 |
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(4)活動の様子 |
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シイタケ製造会社での教材開発 |
科学の祭典での栞作り普及活動 |
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(5)生徒の感想 |
○自分たちの研究結果が、環境教育教材として世の中で活用できるかもしれないということに、充実感を得られた。
○廃棄物を利用したものづくりに、多くの方が没頭する姿が嬉しかった。ものづくりの面白さを伝えられただけでなく 、リサイクルの楽しみも、感じ取ってもらえたのではないか。
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(6)今後の課題 |
環境化学科と理科が中心となり研究を進めていく中で、他の教科との関連も見いだすことができた。 今後は、より多くの教科、生徒たちと協力しながらプロジェクトを進めていきたいと考えている。 |
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東温高等学校 |
(1)研究主題 |
学校内のくぬぎ林を活用した環境教育の実践 -くぬぎ活用術- |
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(2)主題設定の理由 |
身の回りの環境や環境問題に関心を持ち、環境の保全に配慮した望ましい働きかけのできる技能や思考力・判断力を身に付け、 環境の創造活動に自主的に参加し、地域や環境への責任ある行動がとれる態度を育成する。 |
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(3)実施内容 |
ア くぬぎの葉を材料に入れた「東温石けん」の製造協力及び販売 集めたくぬぎの葉を地域 の企業(遠赤青汁)へ持参し、「東温石けん」の製造に協力を依頼し、
各種イベント(産業ま つり等)で販売した。
イ どんぐり拾いに来る幼稚園児等との交流 学校内のくぬぎ林のどんぐりを拾いに来る幼稚 園児(約1100人)や特別支援学校の生徒と、 拾ったどんぐりで写真立てやおもちゃなどを作 る交流を行った。
ウ 丹原高校の協力による腐葉土・椎茸の原木の作成
エ パンジーやビオラのプランターの最寄りの駅等への寄贈 本校生徒も利用している最寄り の駅や幼稚園等に、 くぬぎの葉で作った腐葉土で育てたパンジーやビオラをプランターに植 え、寄贈した。
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(4)活動の様子 |
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東温せっけん |
どんぐり拾い交流 |
プランターの寄贈 |
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(5)生徒の感想 |
○これまで「ごみ」になっていた落ち葉や枝が腐葉土や椎茸の原木の材料となってよかった。
○「東温石けん」の販売活動を通して、コミュニケーション能力の向上につながった。 |
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(6)今後の課題 |
「東温石けん」の販売やどんぐり拾いでの幼稚園児等との交流は、持続可能な開発のための 教育(ESD)として、定着してきた。今後は、丹原高校との交流やプランターの寄贈など
の地域への還元について、継続していきたい。 |
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上浮穴高等学校 |
(1)研究主題 |
持続可能な森林資源の活用と森林環境保全を目指して |
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(2)主題設定の理由 |
地域と連携した活動を通して、身近な森林を活用し、持続可能な森林の実現のために必要な知識と技術を身に付けさせる。
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(3)実施内容 |
ア ケヤキのさし木苗生産に向けた取組
イ カホン(打楽器)を活用し、小学生を対象にした森林環境教育の実践
ウ 地元産木材(ヒノキ)を利用したコースター製作と交通茶屋での配布 |
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(4)活動の様子 |
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ケヤキの挿し木苗生産 |
交通茶屋でのコースター配布 |
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小学校を対象とした環境教育の実施 |
地域イベントでの演奏 |
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(5)生徒の感想 |
○私たちの活動を通して、小学生が森林について知り、 カホン作りを楽しむことができ、自分にとっても良い経験になった。
○コースターを作って配布することで、自分たちが学習したことが地域貢献に繋がっていることが実感できた。 |
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(6)今後の課題 |
○ケヤキ苗増殖技術の確立と地域への普及
○さらなる木材利用の推進と環境教育の実践 |
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長浜高等学校 |
(1)研究主題 |
「長高水族館」を基盤とした環境教育活動の実践 |
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(2)主題設定の理由 |
大洲市長浜町には昭和60年まで町のシンボルとして、 町立長浜水族館が存在し、その意志を引き継ぐように、 「長高水族館」を長浜高校の生徒が管理・運営している。 長高水族館は毎月第3土曜日に一般公開し、他にも小学校などの環境教育の場として提供している。 開館して16年間、長高水族館で生き物と触れ合う活動を行うことにより、 自然環境の保護や命の大切さを啓発することができた。 今回、「長高水族館」の活動を通して、環境についての研究をさらに深め、 地域と深く連携した体験型環境教育を充実させることで、本校生徒だけでなく、 より多くの人々の環境意識を高めたいと考え、このテーマを設定した。 |
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(3)実施内容 |
○毎月第3土曜日の長高水族館一般公開における環境啓発活動
長高水族館一般公開日には、多くのお客様に来ていただき、今年度は、1日に777名の新記録を達成した。 一般公開日以外にも保育園、幼稚園、小学校などに環境学習の場を提供している。
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(4)活動の様子 |
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長高水族館一般公開日の様子 |
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(5)生徒の感想 |
○長高水族館の活動を通して命の大切さを学ぶことができた。
○水族館の一般公開で、多くの方々に自然環境について興味を持っていただいた。 |
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(6)今後の課題 |
○地域と連携した活動をより深め、環境学習の場を更に広げていきたい。 |
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野村高校 |
(1)研究主題 |
地域環境改善プログラム~イノシシ捕獲及びAIぼかしを用いた農場保全対策~
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(2)主題設定の理由 |
県下でも有名な畜産の町である西予市野村町は、 イノシシによる自然破壊と耕作地被害、畜産業の廃棄物悪臭などの課題を抱えている。 そこで地域団体と協力し地域の環境改善に取り組むことにした。
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(3)実施内容 |
ア イノシシの捕獲
地域の方の協力のもと、イノシシ捕獲に取り組んだ。捕獲には失敗したが、イノシシが残した形跡を複数発見し生育状況を確認できた。
イ 畜舎の防臭対策
えひめAI開発者の方のアドバイスをもとに、防臭対策に取り組み、アンモニア臭を2ppm程度まで低下させることができた。 |
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(4)活動の様子 |
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箱罠設置 |
イノシシ生態調査分析 |
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臭い測定 |
えひめAI散布 |
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(5)生徒の感想 |
○ 今年度の捕獲に失敗して残念だった。しかし、イノシシの成育状況や捕獲方法について知ることができて良かった。
○ 豚舎の臭いは、「愛ぼかし」を餌と一緒に与えるとある程度抑えることができた。えひめAIの作り方が分かり、 発表会で他校と交流でき、勉強になった。 |
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宇和島水産高等学校 |
(1)研究主題 |
ESDの観点による宇和海の環境保全活動 |
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(2)主題設定の理由 |
宇和海における環境保全活動とともに、小学生などを対象に環境啓発活動を実施し、「海」「環境」、「魚食」、そして「命の大切さ」について伝え、教えることにより学びを深めることを目的とする。また、地域と連携し、森・海・里を連関した環境保全を実践し、
高校生から次世代につなげていくことが
ESDの観点であると考えている。
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(3)実施内容 |
以下の七つの取組を実践している。
①宇和海における海洋観測 ②森里海連環プロジェクト
③水高ブルーカーボンプロジェクト ④研究活動
⑤環境の啓発活動 ⑥生物調査による環境の評価
⑦海の奉仕活動
森里海連環プロジェクトでは、NPO等と連携し、水域の環境保全について学校、家庭、地域等との連携を図り、森・里・海、そして人と人とのつながりの大切さを学び、水産業や環境保全分野に貢献できる力を養う活動を行った。 |
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(4)活動の様子 |
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宇和海における海洋観測 |
高校生による環境学習プログラム |
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(5)生徒の感想 |
様々な活動を通して、森・海・里はつながっていることが理解できた。人と人とのつながりとその想いを大切にしたい。 |
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(6)今後の課題 |
高校生や様々な年代に環境保全に対する意識を高揚させることができた。 活動を通して、環境に対する興味・関心を喚起させ、更には、豊かな自然は、
地域の財産であるということを再認識させることができた。 今後は、水産業や環境分野に寄与できる次世代の人材を育成するために、幅広い視野で継続的に実践していきたい。
そして、森・里・海・食、人と人とのつながりを大切にしながら、その想いと共に、ESDの観点から次世代に継承していきたい。 |
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三間高校 |
(1)研究主題 |
「環境保全活動・地域文化活動・農業生産活動」によるESD環境教育 |
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(2)主題設定の理由 |
本校では、以前からもみがらを有効利用した環境にやさしいトマトのベンチ栽培や、 無農薬のトマト栽培等についての研究を行ってきた。
これらの研究に加え、放置竹林を有効活用し、絶滅危惧種とされているアサザを栽培することで、 地域に目を向け、地域に学ぶ生徒を育成することを目的として、主題を設定した。
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(3)研究内容 |
○環境保全活動「絶滅危惧種アサザ保護活動」
「県レッドデータブック」で絶滅種とされているアサザを水槽で苗を増殖させ、河川に定植した。 また、この取組を基に愛媛県自然科学教室を実施した。
○地域文化活動「竹の有効利用の研究」
近年問題となっている、放置竹林対策として、竹を有効活用した地域文化の発信に向けて研究に取り組んだ。 竹の活用をPRするための竹灯籠の制作、幼稚園夕涼み会、納涼大会、中山池自然公園イルミネーション、
龍光寺での初詣ライトアップでの活用などを行った。
○農業栽培活動「無農薬トマト栽培の研究」
無農薬トマトの栽培において、マイエンザをかん水することで連作障害の防止、病気の予防に非常に効果があると考えられ、マイエンザの有効利用の研究を計画中である。 |
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(4)生徒の様子 |
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アサザの河川への定植 |
竹灯籠の設置 |
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無農薬トマトへのマイエンザの散布 |
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竹灯籠の設置をすることで、多くの人に喜んでいただき、これからの活動への励みとなった。 また、無農薬のトマトの栽培にマイエンザを利用することで、安心な食品をみんなに食べていただくために、研究への意欲が高まった。 |
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(5)今後の課題 |
今年度実施してきた、三つの柱で取り組んだESD環境プログラムを地域活性化に貢献できるものとしてこれからも継続していきたい。
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