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~はじめに~ |
平成27年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、公布されました。 この改正により、満18歳以上の人が選挙に参加することができるようになり、本県では、7月10日に行われた参議院議員通常選挙において、初めて18歳の高校生が投票を行いました。
県教育委員会では、高校生に、政治に対する関心を高め、主体的に社会参画する意欲を持ってもらえるよう、本年度の新規事業として「主権者教育推進事業」を実施しました。
7月10日の選挙に至るまでの取組を紹介します。 |
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1 事業のあらまし |
この事業は、
○主権者教育研究指定校3校による研究
○それ以外の全県立高校・中等教育学校(主権者教育実践校)による取組
○公職選挙法の理解を助ける啓発リーフレットの作成・配布
の3本の柱からできています。 |
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(1) 主権者教育研究指定校による研究 |
ア 研究指定校
東予・中予・南予から県立高校等(全日制)各1校を指定する。
→新居浜南高校、松山東高校、吉田高校
イ 指定の期間
原則として1年間とする。
ウ 研究内容(例)
参議院選挙までに(6月末までを目途に)、全ての生徒を対象に、大学、市町、選挙管理 委員会、議会事務局、NPO法人関係者等と連携した講演や見学等の体験学習等を必ず 一度は実施し、
3年間を見通した系統的なカリキュラムの開発(教科、特別活動、総合的 な学習の時間等)を行うほか、新たに有権者となる若者の政治や選挙への関心を高め、
政治的教養を育むための教育プログラムを開発する。 |
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プログラム等 |
内 容 |
ねらい |
大学等と連携した、論理的思考力を高める政策ディベート学習 |
多面的、多角的に調べ、論理的に考え、積極的に発言し、議論して、望ましい問題解決の在り方を考える。 |
根拠を持って主張し、他者を説得する力を育む。 |
市町等と連携した、地域課題発見・解決型学習プログラム |
身近な地域や生活の中に関連付けられる課題に取り組む。 |
公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度を育む。 |
選挙管理委員会や議会事務局、NPO法人等と連携した、模擬選挙や模擬議会 |
模擬選挙では、討論会、投票、開票といった活動に、模擬議会では、委員会や本会議による審議、採決といった活動に取り組む。 |
政治参加と議会制民主主義に関する興味を高め、主体的行動力を育む。 |
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(2) 主権者教育実践校による活動 |
ア 実践校
研究指定校以外の県立高校等(本校49校(中等教育学校含む)、分校(3校)、専攻科(1 校)、定時制(10校)、通信制(1校))のべ64校
イ 活動内容
参議院選挙までに(6月末までを目途に)、全ての生徒を対象に、政治や選挙への関心 を高めるための体験学習等を必ず一度は実施する。
(例)
・大学、選挙管理委員会関係者等と連携した講演、講座やその後の討論の実施
・選挙管理委員会や議会事務局等と連携した模擬投票や模擬議会の実施
・市町等と連携した地域の課題現場の見学とその後の報告会等の実施 など |
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(3) 公職選挙法に関する啓発リーフレットの作成、配布 |
県内全ての高校生に配布する。 |
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2 各校の取組 |
(1) 主権者教育研究指定校による研究 |
ア 新居浜南高校 ライフスタディⅠ「主権者教育~話す・聞くディスカッション~」
政治参加の基本である、話す・聞く力を鍛えました。 |
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イ 松山東高校 全校一斉主権者教育ホームルーム活動公開~24通りの主権者教育~
マイクロディべート、マニフェスト作成、模擬国連、パブリックコメント作成など、多彩で先進 的なホームルーム活動を公開しました。他校の教員も参観し、研究成果を共有しました。
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ウ 吉田高校 「宇和島市議会の傍聴」
政治を身近に感じると同時に、地域の課題に対する関心を高めました。 |
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(2) 主権者教育実践校による活動 |
ア 模擬選挙
選挙管理委員会の協力をいただき、実際の投票箱、記載台を使用し、本当の選挙さながらの模擬選挙を実施し、選挙に対する関心を高めました。 |
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イ ディベート・政策研究
自分の考えを根拠を持って主張する力を鍛えました。
(例:「日本は国民投票制度を導入すべきである。是か非か。」) |
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ウ 地域課題探究
地域の現状について知り、自ら課題を発見し、その解決策を考えました。 |
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(3)公職選挙法に関する啓発リーフレットの作成、配布
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みきゃんとダークみきゃんと、アッピー(愛媛県 明るい選挙イメージキャラクター)が、公職選挙法について、分かりやすく解説します。 |
→高校生向け啓発リーフレット「18歳からの選挙権」(PDF:1.5MB)
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3 生徒の声 |
・ 実際に模擬投票を行うことで選挙に関わる人たちの役割を詳しく学ぶことができた。仕組み や制度などまだ難しいと思う部分もあるので、これからも理解を深めたい。
・ 選挙は難しいものだと思っていたが私たちにも分かるように説明してもらったので理解でき た。
・ 今日のホームルームで、私ももうすぐ有権者になるのだという実感が出てきた。車椅子の 人用の記載台があることや、最初に投票する人が投票箱の中を確認すること、
また、投票 用紙は形状記憶だということなど、新しく知ったことが多かった。
・ 自分自身が動かないと何も変わらないということを深く考えさせられる時間だった。 僕はこ れまで政治などについてはあまり関わりがないものだと思っていたが、これからはそれらの ことについてしっかりと考えないといけないと思った。
・ 選挙でさまざまなことを決める責任を持つと同時に、選挙の際に気をつけることをしっかり 学んで、違反がない、正しい選挙をして政治に加わっていきたい。
・ 私はもう18歳なので夏の参議院議員選挙で投票できる。地方に住む若者の意見を政治に 生かせるように、必ず投票に行くつもりだ。 |
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~おわりに~ |
7月10日(日)を終え、総務省や県選挙管理委員会から、投票率の速報が公表されました。 18歳の投票率が、19歳や20歳代に比べて高いことから、高校3年生が積極的に投票したものと考えられます。
今回の選挙は、18歳選挙権が行使される初の国政選挙ということで、大変注目されましたが、今回の選挙が、主権者教育のゴールというわけではありません。
県教育委員会では、今後も、主権者教育の一層の充実に努めてまいります。 |
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