特集

文部科学省人権教育研究推進事業報告 新居浜市立惣開小学校
新居浜市立惣開小学校
文部科学省人権教育研究推進事業報告 西予市立明浜中学校
西予市立明浜中学校
文部科学省人権教育研究推進事業報告 愛媛県立川之石高等学校
愛媛県立川之石高等学校
いじめSTOP愛顔の子どもフォーラム
人権教育課
愛媛県特別支援学校友達いっぱいプロジェクト事業 愛顔のふれあいフェスタ
特別支援教育課
文部科学省人権教育研究推進事業報告
命を尊び、自分も人も大切に思いやることのできる
人権感覚と実践力をもった児童の育成
~持続可能な未来をつくる人材の育成をめざして~

新居浜市立惣開小学校 

1 はじめに

 本校では、「人権教育の指導方法の在り方について[第三次とりまとめ]」の趣旨を踏まえ、人権・同和教育に関する指導方法の改善及び充実を目指し、「人権について正しい見方や考え方を身に付け、仲間と共に助け合い、みんなで解決していこうとする意欲と実践力を育てる」ことを目標として取り組みました。特に、「人・もの・こととかかわり、つながるESD(持続可能な開発のための教育)」を核にした人権・同和教育を推進してきました。

2 実践内容

(1) 「児童の主体的な学び」に視点を当てた人権意識を高める授業づくりの取組

 ア 人権尊重の精神に立って行動する児童の育成を目指した授業実践

 主に道徳において授業の展開を活性化することが重要であると考え、児童が資料中の人物の立場や思いを想像し心の痛みに触れたり、理不尽な出来事に対して憤りを覚えたりしたことを意見交換できる場を積極的に取り入れました。小集団活動での対話的な学びを通して、児童が主体的に関わり、学ぶことができる授業づくりに努めました。


<小集団学習の様子>

 イ 保護者の人権意識を高め、人権・同和教育への理解を促すための取組

 児童が学校で学んだことをもとに、家庭で人権・同和教育について語り合うことにより、自己の成長を振り返ったり、日常生活での実践への意欲化が図られたりできると考えました。そこで、今年度から6年生保護者対象の同和教育学習会を実施しました。修学旅行説明会と同時開催をすることで、保護者の全員参加を実現することができ、学校教育と共に人権・同和教育を推し進めてほしいという願いを伝えました。


(2) 「多様な関わりから学ぶ」ことによって育てる実践力についての取組

 ア 地域との関わりを中心にした授業実践


<そうびらきぶらり
ウォークの様子>

 本校区には企業の社宅が多く、出身が新居浜市ではない児童・保護者の割合が高く、地域との結び付きが薄い傾向にあります。こうした実態を踏まえ、新居浜市の発展に大きく寄与した別子銅山と関わりに深い校区であることを生かし、地域を愛し、誇りに思う児童を育てることを目指し、学校と地域が「ESD協働プロジェクト」に取り組んでいます。この取組では、「防災・減災」「環境」「ふるさと」の3領域からアプローチし、「様々な人と関わり、つながることで共に生きる」という人権・同和教育の視点を位置付けて、体験的な学びを構築しています。「ふるさと」領域の授業実践として、4年生がガイド役となって校区にある別子銅山に関する遺構等を紹介する「そうびらきぶらりウォーク」を行いました。この活動は、児童にとってはふるさとを強く意識するきっかけになり、保護者にとっては地域のよさを伝えようとする児童の姿に頼もしさを感じたものとなりました。

 イ 命を尊ぶ心を育てる授業・活動実践


<合同防災訓練の様子>

 本校では、南海トラフ巨大地震を想定した合同防災訓練に3年前から取り組んできました。体験的・実践的な防災訓練を目指して多様な関係諸機関と連携し、より実践に結び付くシュミレーション訓練となるような活動を取り入れています。訓練を終えた児童からは、「もし本当にこんな災害が起きて何人も大怪我をしていたら、この訓練で学んだことを生かして慌てずに行動し、一人でも多くの命を救いたい」という感想があり自他の命を大切にしようとする児童が育ってきています。


(3) 自己表現・自己実現ができ、支え合う仲間づくりの取組

 ア 「仲間とつながり・関わる力」を育てる授業実践


<仲間づくり活動の様子>

 人権・同和教育に視点をおいた様々な学習や活動を支える基盤づくりとして「仲間づくり活動」を実践しています。構成的グループエンカウンター等の手法を用い、「自分や他者への気付きを促す」「学級集団の質を高める」「他者との違いに気付く」などをねらいとして、学級活動や朝の会等でエクササイズを行います。時には話題について語り合ったり、時には身体を動かすゲーム的要素の強い活動をしたりしながら、心地よい時間を過ごす仲間がいることに喜びを感じ、一人一人が安心して自己表現できる学級集団が育ってきており、定着した活動になってきています。

 イ 人権尊重の精神に立って行動する児童育成についての取組

 人権尊重の雰囲気を学校全体でつくり出し、共有するために、児童会で決めた「隣にいる子をもっと好きになる 大好きな友達 ちらりと見える君の笑顔 大好きだ!」のテーマのもと、年2回のなかま集会や人権カレンダー作成等に取り組んでいます。なかま集会では、「全校仲間づくり活動」「全校リレー音読」「全校ダンス」等の活動を通して、異学年の交流や仲間と連帯感を高め、自他を尊重する態度を育てることをねらっています。また、集会では、演劇クラブによる人権劇も上演され、登場人物に思いをはせながら、身近な人間関係に引き寄せて考えることで、自然に劇のテーマについての気付きがあり、人とのよりよい関わり方等を学ぶことができています。


< 人権劇の様子 >
3 おわりに

 日頃から、道徳だけでなく、他教科の授業においても小集団での話合いで互いの思いを知る機会を増やし、自分とは異なる意見や友達の本音に触れることで多様なものの見方や考え方を受け止めることができるようになってきました。また、他者の思いを尊重し、人と関わることの難しさも喜びも知ることができたりした児童が増えてきたことは大きな成果だと感じています。今後もより一層、人権感覚を育みながら「人権について正しい見方や考え方を身に付け、仲間とともに助け合い、みんなで解決していこうとする意欲と実践力」を身に付けた児童の育成を目指していきます。


文部科学省人権教育研究推進事業報告
互いの人権を尊重し合い、
他者と共によりよく生きる生徒の育成
~「自己肯定感を高める」「地域に学ぶ」取組を通して~

西予市立明浜中学校

1 はじめに

 本校では、「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]」の趣旨を踏 まえ、自己肯定感を高めるとともに、「ふるさと明浜」の様々な人の生き方に学ぶことを通して、人権に関する知的理解を深めたいと考えました。さらに、人権感覚を養うことにより自他の人権を尊重し、互いのよさを認め合い、他者と共によりよく生きることができる生徒を育てたいと考え、授業づくり部会と仲間づくり部会を中心に研究を推進しました。

2 実践内容

(1) 授業づくり部会の取組(知的理解や人権感覚を育む学習活動の推進)

 ア 同和問題をはじめとする様々な人権問題についての学習の充実

 年間指導計画に、1年生では障がい者や高齢者に関する人権課題、2年生では「ハンセン病問題と塔和子さん」を教材として位置付けています。苛酷な差別の中で命の詩を生み出した塔和子さんの生き方を地域の貴重な教材として、同和問題学習をはじめとする様々な人権学習に取り入れています。3年生では部落差別の解消に向けた内容の充実を図っています。
 1年生では、特別支援学校や地元の老人会との交流を通して、相手の立場に立った交 流の在り方について考えました。
 2年生の学級活動では、塔和子さんの詩「ふるさと」を扱いました。ハンセン病寮養所の大島青松園を訪問するに際し、どのような気持ちで臨むのか、事前学習として行いました。
 3年生では、同和問題学習として、結婚差別や就職差別の解消に向けて考えました。また、部落差別の問題を自分のこととして捉えることができるよう、宇和町の「たんぽぽ読書会」との学習会を行い、差別の現実に学びました。
 これらの学習を通して、生徒は差別の現実を自分のこととして捉えることができつつあります。また、差別の解消に向けて、自分にできることを実践していこうとする態度が育ちつつあります。

 イ 人権劇の取組(総合的な学習の時間)

 本校では、3年生の「総合的な学習の時間」のテ─マを「人権」としています。平成26年度からは、差別をなくす啓発活動の一つとして、11月に行う文化祭で人権劇に取り組んでいます。人権劇の最後には、塔和子さんの詩を群読し、塔さんの差別解消への思いを共有する機会としています。平成29年度は結婚差別の問題に関する「幸せとは…」と題する劇を上演しました。人権劇を上演することで、自分の人権意識を見直すことができます。登場人物たちの思いや考えを知ることで、相手の立場に立つことはどういうことかを学んでいきます。そして、差別解消のためには正しく学ぶことと行動することが大切だということに気付いていきます。3年生の一生懸命に取り組む姿は、後輩、保護者、地域の方、そして教師の心も動かしました。


【平成29年度人権劇】
「幸せとは…」

【詩の群読】
「塔和子『ふるさと』」

(2) 仲間づくり部会の取組(互いを理解し、高め合う仲間づくりの推進)

 ア 自己肯定感を高めるための工夫


【学級担任からの
手紙を読む生徒】

 鳴門教育大学大学院の教授と院生をゲスト・ティ─チャ─として迎え、全校生徒を対象に授業をしていただきました。生徒は日常生活の中で、自己肯定感を高める手立てを学びました。授業の後半には、学級担任が全員の生徒に、一人ひとりのよいところを書いたプラスのメッセージカードをプレゼントしました。
 保健委員会の集会では自分の「よさ」に気付くことができるよう、他の人からの「ほめ言葉」のシャワ─を浴びる活動を行いました。ほめられた生徒は、照れながらもうれしそうな表情を浮かべていました。
 自己肯定感を高めるとともに、相互の人間関係をよくする活動にもなりました。

 イ 人権を尊重する掲示物づくりの工夫

 人権を尊重する環境づくりをするために、各教室や校内の人権コ─ナ─の充実を図 ったり、あいさつ標語の掲示を行ったりしています。保健委員会では、「心のメッセー ジコーナー」を設置し、心の健康づくりができるようにしました。掲示する内容は 保健委員がその都度考えて、心温まるコ─ナ─になるよう工夫しました。

(3) 家庭・地域との連携、啓発活動の在り方、教職員の資質、能力の向上

 地区別懇談会では、PTA研修として人権・同和教育研修を実施しています。校区別人権・同和教育学習会は、毎年小・中合同で行い、同和問題をはじめとする様々な人権学習の授業を公開した後、講演会等を行っています。
 先進校視察や各種研修会に参加し、その都度情報交換をすることによって、刺激を受け、どう授業を進めるか、人権問題についてどう考えていくことが大切かなど、職員間で話題になることが多くなり、教職員の人権意識が高まりました。

3 おわりに

 様々な人権問題を自分に関わる問題として捉える人権学習を進めることで、差別解消のために行動していこうとする実践力が少しずつ身に付いてきました。また、自己肯定感を高める様々な取組や、互いを大切にする集団活動や交流活動を推進していくことで、自他を大切にして行動し、共によりよく生きようとする姿勢が身に付いてきました。
 本研究を始まりと考え、教師自身が問題意識と学ぶ意識をもち続け、それを学校・家庭・地域に広めていこうとする姿勢が大切です。今後も、保護者の声、学校評価の内容を踏まえ一人ひとりが大切にされ、自分や家族、地域をもっと好きになる生徒の育成を目指していきたいと思います。


文部科学省人権教育研究推進事業報告
体験学習を通して、主体的に行動できる生徒を育てる
人権教育の推進

愛媛県立川之石高等学校

1 はじめに

 本校は、6系列からなる総合学科の高校です。同じクラスであってもホームルーム活動以外では全く顔を合わせることのない生徒も少なくありません。その一方、それぞれの生徒は校内外の様々な行事やボランティア活動に積極的に参加しており、多くの体験活動を行っています。それぞれの体験活動で得られた情報を共有したり互いの活動を理解したりすることで、自己肯定感や自己有用感を育み、自分たちの活動を地域に発信していくことで、生徒一人ひとりが主体的に行動できる力を身に付けることができると考え、研究実践を進めました。

2 具体的な取組

(1) 人権・同和教育ホームルーム活動の取組


〈市長との交渉〉

ア 1年次の2学期の人権・同和教育ホームルーム活動は、「自分の周りに目を向けよう」が大きな主題です。今年度はフィールドワークを実施しましたが、一クラスでは、障がい者問題を取り上げるにあたって、実際に視覚障がいのある方の歩行介助を行いました。そのなかで、点字ブロックの整備の不足と点字ブロックの重要性の理解度の低さとに気付き、自分たちにできることがないかを考えて八幡浜市に改善を要望したところ、市長から、改善できるところから改善していくとの回答を得ることができました。このように、フィールドワークを通して考えたり学んだりしたことを行動に移すことで実現できることがあるということを学ぶことができました。


〈歩行介助の練習〉

【歩行介助を行った生徒の感想】
 Sさんのお手伝いをして気付いたことは、目の不自由な方の補助の大変さです。私たちは特に意識せず、避けている障害物も、目が不自由な方には分からないため、それを避けることができません。そのため、障害物(例えば、電柱、段差)があれば、全て障がいのある方に報告しなければならないのに、私は、普段あまり意識せずに生活しているため、伝えきれていませんでした。(中略)全てこの体験がなければ、分からなかったと思います。恐らく、どんな人も実際に障がいのある方と関わると、いろいろと気付くことができると思います。

イ 3年次の主題は「結婚差別の解消に向けて」でしたが、実際に結婚差別に直面した地域の方からお話をうかがい、「今も差別に苦しんでいる人がいる」ということを実感しました。ホームルーム活動ではこのお話を踏まえて、差別の解消に自分たちがどう取り組めばよいのかを話し合ったり考えたりし、「差別を許さない」という強い思いをもちつつ自分のこととして考えることができました。

(2) ボランティア活動の取組

 本校では「ボランティア活動認定制度」を立ち上げ、多くの生徒が校内で登録し、様々な活動に参加しています。昨年度、ボランティア活動認定を受けた生徒は、1か年ボランティア活動認定139名と3か年ボランティア活動認定24名を合わせると、全校生徒の半数近くになります。園児から高齢者まで様々な世代と関わる活動や、清掃活動・地域行事の手伝いなど様々な活動を体験することによって、自己有用感をもち、他者を思いやる気持ちが育っています。さらに、多くの人と関わることで、多様なものの見方や考え方が理解できるようになってきました。

(3) 人権委員会の活性化

ア 人権・同和教育ホームルーム活動においては、人権委員が準備や司会・進行等に積極的に関わることにより、他の生徒たちも人権問題を自分たちの問題として捉えるようになってきました。

イ 「人権だより」は、担当の人権委員が教職員や生徒から意見を聞いて作成しています。掲載された保護者の意見に対して感想を書いたりするなど、自分たちが作成に積極的に関わっているという意識をもつことができるようになりました。


〈手話コーラスの練習〉

ウ 近隣の中学校・高等学校が合同で実施している人権委員会夏季研修に参加し、様々な講座で学習したり話し合ったりすることで、他校の生徒から多くのことを学ぶなど、よい刺激を受けることができました。また、研修会の導入では、毎年本校の福祉サービス系列の生徒が、各校の人権委員に対して手話コーラスの指導を担当しています。

(4) 教職員研修の充実

 校内で人権・同和教育ホームルーム活動についての研修会を積極的に行いました。さらに、できるだけ多くの教職員が校外の研修会に参加し、他校の取組や他地域の参考になる活動を学べるようにしました。校外の研修で学んだ事柄は、適宜職員会議などで報告し、全教職員への周知が図れるようにしました。

(5) 保護者・地域との連携

 入学式後には、新入生保護者オリエンテーションを実施していますが、そのなかで、本校の人権・同和教育の取組についても説明しています。今年度は、同和問題をはじめとする様々な人権問題について家庭で話し合っていると回答した生徒が少ないという、生徒に行った意識調査の結果を受けて、保護者の考えや意見を把握し、改善を図るため、「人権やいじめに関する意見」を記入して提出してもらうようお願いしました。その際、保護者に高等学校人権問題学習資料『人間の輪』を渡し、意見を書く参考にしてもらいました。また、この資料を家庭での話合いにも活用してもらうようお願いしました。
 全ての保護者からではありませんが、多くの保護者から貴重な意見をいただくことができ、これらの意見の一部は「人権だより」に掲載しました。配付した「人権だより」の保護者の意見に対する感想を生徒に書いてもらうなど、一方通行にならないようにしました。その結果、「人権だより」に関心があるという生徒も増えてきました。
 生徒や教職員の研修では、隣保館である八幡浜市ふれあいセンターから講師をお招きしてお話を伺うなど、地域との連携を図りました。

3 おわりに

 今回、「主体的に行動できる生徒の育成」を目指して2年間の研究を行ってきました。ホームルーム活動の取組でも、直接現地を訪問してお話を伺ったり、自ら体験することを通して主体的に考えたりすることができました。今後はこれらの取組を継続するとともに、人権委員会の活動などでさらに活動の幅を広げ、生徒や教職員の人権感覚を磨き、主体的に活動できる生徒を育成できるよう取り組んでいきたいと思います。


いじめSTOP愛顔(えがお)の子どもフォーラム
 平成29年12月16日(土)砥部町文化会館において「いじめSTOP愛顔の子どもフォーラム」を開催しました。
 このフォーラムの目的は、愛媛県の小学生から高校生までの児童生徒が主体的に行っている、いじめを防止する活動の充実を図るものです。今年度は高校生のいじめ防止のための主体的な取組の発表も交え、県内の児童生徒の代表者、教職員・保護者等、約800人が集まる行事となりました。
子どもフォーラムの概要

(開会挨拶)
【開会行事】
 まず、開会挨拶では、砥部町立砥部小学校6年見好咲耶(みよししょうや)さんと、新谷奈々(しんたになな)さんが、人権標語「人と人 壁をつくらず 輪を作ろう」を紹介しながら、「このフォーラムをとおして、自分たちの手で、いじめのない愛顔の愛媛をつくろう」と力強くみんなに呼びかけました。

(教育長挨拶)
 次に、井上正教育長の挨拶では、ある助産師の方が言われた「誰の命も愛情をかけて育まれた大切な命です。いじめられたり、無視されたりするために生まれた命は一つもありません」という言葉を紹介され、「このフォーラムをきっかけに、皆さんが学校・地域でかけがえのない仲間を守る学校づくりや地域づくりに取り組んでほしい」というメッセージをいただきました。

(パフォーマンスの一場面)
【ダンスパフォーマンス】
 松山北高校ダンス部の皆さんが、テーマ「君は一人じゃない!~あなたのその勇気で変わる世界」で、ダンスパフォーマンスを披露してくれました。その内容は、いじめられている子を助けたいと思っている友達がいて、その友達の勇気がまわりを少しずつ変えていくというもので、いじめの傍観者にならない勇気の大切さがメッセージとして伝わってきました。生徒達の素晴らしいパフォーマンスに、参加者からは「感動した。自分も勇気をもっていじめを止めていきたい」いった感想がありました。

(実践発表の様子)
【実践発表】
 「チームえひめで、いじめSTOP」をテーマに、松山市立荏原小学校(絆プロジェクトの取組)、八幡浜市立真穴中学校、(チーム真穴での取組)、川之江高校(ハンドブック作成の取組)の3校の代表児童生徒が、自校のいじめ防止等の取組について発表しました。小学校、中学校、高等学校それぞれの校種に応じた特徴のある発表であり、大変参考となりました。

(分科会の様子)

(全体会の様子)
【分科会→全体会】
 参加した児童生徒が、5つのテーマに分かれて、いじめSTOP宣言の元となる言葉を考えました。次に、各グループの代表者が集まり、宣言文を完成させる話合いを行いました。代表者の皆さんは、前向きで真剣な表情で話合いに参加していました。
 そして、完成したのが、「いじめSTOP愛顔の子ども宣言」です。


(閉会挨拶)

(閉会行事の様子)
【閉会行事】
 閉会行事では、平成28年度に伯方高校の生徒と先生が制作したいじめSTOPソング「愛顔(えがお)のために」を全員で歌いました。そして、松山北高校2年、二宮良太(にのみやりょうた)さんが「これから自分たちの心の中にある優しさ、つながり、勇気を周りの人につなげていきましょう。今日、完成した宣言をみんなで広めていきましょう」と堂々とした挨拶で幕を閉じました。

(全体会の進行)
 終わりに
 今回のフォーラムは、参加した小中高校生みんなが活躍しました。全体会等の司会進行を松山東高校放送部員、分科会の司会・記録を各市町の中学生の代表者が努め、フォーラムの様子を松山中央高校の皆さんが取材し新聞にまとめるなど、まさに子どもたちによる、子どもたちのためのいじめ防止の取組となりました。愛媛の子どもたちのすばらしさや底力を実感する1日になりました。
 今後は、参加者がフォーラムの学びを各学校、地域にもち帰り、社会総ぐるみのいじめ防止の取組が推進されるよう期待しています。

愛媛県特別支援学校友達いっぱいプロジェクト事業
愛顔(えがお)のふれあいフェスタ
~ともだちフェスティバル~

愛媛県イメージアップキャラクター
みきゃん
 県教育委員会では、障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に学ぶ機会を増やすことや、障がいのある子ども自身が障がいや必要な支援について周囲に伝えたり、持っている力を積極的にアピールしたりすることにより、障がい理解の推進を図るとともに、全ての人が、障がいの有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を形成する一助とすることを目的として、平成29年度から新規事業「愛媛県特別支援学校友達いっぱいプロジェクト事業」を実施しています。

 今年度は、県立特別支援学校3校を会場として、地域の小・中学校等の児童生徒及び保護者の方々、地域の方々を招いて、特別支援学校の児童生徒との交流及び共同学習を通して、障がい理解の推進を図るイベント「愛顔のふれあいフェスタ」を開催しました。

〇 開催校
 今年度は、松山聾学校、今治特別支援学校、宇和特別支援学校(聴覚障がい部門・肢体不自由部門)を会場に、各校年間1回ずつ「愛顔のふれあいフェスタ」を開催しました。

〇 開催内容
 各特別支援学校で特色のある内容を工夫し、当日は、地域の小・中・高等学校等の児童生徒の皆さんや地域の方々等、多くの皆さまにご参加いただきました。
【主な開催内容】
学 校 名 開 催 日 時 内 容 場 所 参 加 者
松山聾学校 11月23日(木)
8:50~12:30
ステージ発表
(幼稚部・小学部)
聴覚障がいの理解・体験
手話体験
授業公開
体育館
各教室
210名
(内、外部
参加者68名)
今治特別支援学校 12月2日(土)
13:00~15:30
フットベースボール交流
(競技説明・競技体験)
児童生徒の作品展示
運動場
各教室
49名
(内、外部
参加者25名)
宇和特別支援学校(聴覚・肢体不自由部門) 11月18日(土)
9:00~14:35
ステージ発表
(小・中・高等部)
音楽発表
児童生徒の作品展示
障がい者スポーツの体験
(ボッチャ)
体育館
各教室
187名
(内、外部
参加者67名)
各学校における「愛顔のふれあいフェスタ」の様子です。

【松山聾学校】
 幼稚部や小学部の幼児児童によるステージ発表を行いました。幼稚部は「オズの魔法使い」、小学部は「十二支のはなし」の劇を披露し、観客の皆さんから温かい拍手をいただきました。手話体験では、日常会話で使う手話の練習をしたり、「ありがとう(いきものがかり)」のさびの部分を会場の皆さんと一緒に歌ったりしました。
 難聴体験等の授業では、中学部・高等部の生徒が自分の障がいやこれまでに経験したことを基に自身の考えを発表しました。

〇 活動の様子

小学部 手話劇「十二支のはなし」

中・高等部生徒の体験授業

〇 特別支援学校の幼児児童生徒の感想
◆ 劇の発表のあと、たくさん拍手がもらえてうれしかったです。
◆ 自分たちの障がいについて、うなずきながら聞いてもらえたことがうれしかったです。
◆ たくさんの方と手話で話したり、歌ったりして楽しかったです。

〇 参加者の感想
◆ 手話の意味を説明してもらったり、手話を交えて会話したりして、とても楽しく交流ができました。
◆ 手話や字幕など聴覚障がいに適した対応により、幼児児童生徒の皆さんが生き生きと活動できることを知りました。
◆ 難聴体験を通して、聴覚に障がいのある方の聞こえ方や困難さを理解することができました。

【今治特別支援学校】
 フットベースボールを通して、障がい理解の推進を図る「愛顔のふれあいフェスタ」を開催しました。当日は、愛(え)顔(がお)つなぐえひめ大会に出場した本校のフットベースボール部員を中心としたメンバーと地域の小・中・高等学校の児童生徒の皆さんや先生方、一般の方々の参加を得て交流を行いました。
 前半は、参加者全員でリズム体操を取り入れたウォーミングアップやフットベースボールのルールを簡単にしたミニゲームを行い、とても盛り上がりました。後半は、特別支援学校の生徒と参加者全員で混合チームを作り、交流試合を行いました。参加者全員がボールに触れられるよう工夫しながら行った交流試合は、笑顔で笑い声の絶えない楽しい活動となりました。

〇 活動の様子

試合前のウォーミングアップ

混合チームでの交流試合

〇 特別支援学校の生徒の感想
◆ みんなで楽しくフットベースボールができてよかったです。
◆ 小学生に走塁の方法を教えてあげるなど日頃の練習の成果を発揮することができてよかったです。
◆ フットベースボールの楽しさやフットベースボール部の活動をみんなに知ってもらえてよかったです。
〇 参加者の感想
◆ フットベースボールがとても楽しかったです。
◆ フットベースボール部の選手の皆さんのキックや捕球の様子を見て、すごいなと感じました。
◆ 子どもたちが、一緒に楽しんでいる姿がとても印象的でした。

【宇和特別支援学校(聴覚障がい部門・肢体不自由部門)】
 聴覚障がい部門・肢体不自由部門の児童生徒による劇の披露や学習成果の発表、児童生徒の作品展示や障がい者スポーツ体験・ボッチャを通した活動を行いました。
 例年行っている学習発表会に合わせて「愛顔のふれあいフェスタ」を開催したことで、当日は予想を上回る多くの方々にご参加いただきました。
 障がい者スポーツ体験では、愛媛県障がい者スポーツ協会から4名の講師をお招きし、本校児童生徒25名と地域の小・中・高等学校の児童生徒18名の総勢43名が、3つのコートに分かれてボッチャの体験や交流試合を行いました。どのコートの児童生徒も真剣な取組のなかに笑顔が見られ、活発に活動ができました。

〇 活動の様子

高等部手話劇「Go! Go! 西遊記」

障がい者スポーツ体験・ボッチャ

〇 特別支援学校の児童生徒の感想
◆ たくさんの人に劇を見てもらい、少し緊張したけどうれしかったです。
◆ みんなでボッチャの試合をしたことが、楽しかったです。
◆ また一緒にみんなでボッチャがしたいなと思いました。
〇 参加者の感想
◆ 日頃の学習の成果が盛り込まれている素敵な発表でした。
◆ 子どもたちが生き生きと活動する様子を見ることができてよかったです。
◆ ボッチャがとても楽しかったです。初めて体験してみて、誰でも簡単にできるスポーツだと感じました。

おわりに
 今年度からの新規事業として、特別支援学校3校で初めて開催した「愛顔のふれあいフェスタ」に、当日は地域の小・中・高等学校等の児童生徒の皆さんや地域の方々など多くの方々にご参加いただきました。
 障がい者スポーツ体験等の様々な活動を通して、特別支援学校の児童生徒と地域の小・中・高等学校等の児童生徒や地域の方々との交流を深めることができ、障がいに対する理解推進につなげることができました。また、フェスタに参加された方々から笑顔やたくさんの感想をいただくことができ、特別支援学校の子どもたちにとっても有意義な活動となりました。
 県教育委員会では、学校における「心のバリアフリー」の教育を展開するため本事業に継続して取組み、障がい理解の推進や特別支援教育の充実に努めてまいります。
 平成30年度は、松山盲学校、みなら特別支援学校、新居浜特別支援学校で「愛顔のふれあいフェスタ」の開催を予定しております。
 どうぞお近くの会場に足をお運びいただき、「愛顔のふれあいフェスタ」に、ご参加くださいますようお願い申し上げます。
本事業についてのお問い合わせ先
 愛媛県教育委員会 指導部 特別支援教育課
 TEL 089-912-2965  FAX 089-912-2964