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県教育委員会では、文部科学省による「学校における医療的ケア実施体制構築事業」を受託し、県立しげのぶ特別支援学校をモデル校とし、次のような研究を平成29年度から継続して行っています。 |
1 研究の概要 |
研究成果報告書 (モデル校作成)
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医療的ケアとは、一般的に学校や在宅等で日常的に行われている、たんの吸引・経管栄養・気管切開部の衛生管理等の医行為を指す言葉で、全国の特別支援学校に約8千人の対象幼児児童生徒が在籍しています。 近年、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒(「医療的ケア児」)は増加し、人工呼吸器の管理等の「高度な医療的ケア」への対応の必要性など、新たなニーズに対応するため、早急な検討や教育と医療との連携・協働による体制整備が求められるようになってきました。 このような状況を踏まえ、高度な医療的ケアを含めた学校における安全・安心な医療的ケア実施体制の構築・充実を検討するために、県立しげのぶ特別支援学校をモデル校に指定し、本事業に取り組みました。
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2 研究の内容 |
本県では、平成15年度から県立特別支援学校に看護師を配置し、医療的ケア実施体制を整えながら特別支援教育を推進してきました。また、平成25年度からは制度改正を受け、一定の研修を受けた教員(認定教員)と看護師との連携による医療的ケアを実施してきました。 |
【モデル校の選定理由】 |
○ 県立しげのぶ特別支援学校は、本県で初めて看護師による医療的ケアを実施した学校であり、医療的ケア児が県内で最も多く在籍する肢体不自由・病弱特別支援学校である。 |
○ 現在、人工呼吸器を使用する高度な医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍しており、今後も入学が見込まれる。 |
○ 県立子ども療育センターが隣接しており、普段から連携した取組が行われている。 |
【研究の目指すところ】 |
○ 学校や教育委員会が、病院、大学等と連携し、これまでの医療的ケア実施体制の見直しを行うとともに、人工呼吸器の管理等の高度な医療的ケアを含めた実施体制の充実を図る。 |
○ 指導医(医療的ケアに精通した医師)による学校における医療的ケアへの関与により、校内の医療的ケアの実施体制や役割等をより明確にし、安全・安心な医療的ケア実施体制の充実を図る。 |
○ モデル校における医療的ケアの実施手順としての医療的ケア実施マニュアル等を策定し、今後の本県における医療的ケアの円滑な実施につなげる。 |
【取組内容】 |
(1)教育委員会としての取組 |
○ 医師、看護師、学識経験者等による本事業運営協議会の設置 |
○ 指導医の委嘱 |
○ モデル校教職員等への事業実施前・実施後の意識調査の実施 |
(2)モデル校における取組 |
○ 指導医による医療的ケア実施場面の視察 |
○ 指導医の参画による校内医療的ケア安全委員会、ケース会議の実施 |
○ 医療的ケアについての研修 |
○ ヒヤリハット事例の蓄積と分析 |
○ 高度な医療的ケアが必要な医療的ケア児の受入れ体制の検証 |
○ 校内医療的ケア実施体制の見直しと医療的ケア実施マニュアル等の策定 |
*****モデル校における医療的ケアについての研修の様子*****
講義「特別支援学校における医療的ケアの考え方」
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講義「人工呼吸器・発電機の安全な取扱い」 |
演習「たんの吸引」 |
3 研究の成果 |
内 容 |
成 果 |
○指導医の配置と活用 指導医として委嘱した医師2名が、年間を通じて月2回以上、モデル校で授業の様子や医療的ケアの場面を視察し、直接、教職員に対して指導・助言等を行った。 |
⇒看護師や教員の安心とともに、専門性向上につながった。 ⇒指導医の助言を受けながら物的・質的・人的環境整備に取り組み、モデル校の高度な医療的ケアに対応した安全・安心な医療的ケア実施体制の構築・充実につながった。
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○医療的ケア実施マニュアル等の作成 モデル校における高度な医療的ケアに対応した医療的ケア実施マニュアル等を策定した。 |
⇒モデル校における安全・安心な医療的ケアの実施や進め方が明らかになった。
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4 今後の課題 |
平成29年度の取組により、上記のような研究成果が得られました。モデル校での取組等を通じて、今後の課題として、次のようなことが考えられます。 |
○医療的ケア児の増加に伴い、更なる看護師と教員との協働や学校と医療機関との連携 |
○児童生徒の体調変化に係る緊急時の対応や保護者の負担軽減の在り方 |
○高度な医療的ケアが必要な医療的ケア児の教育環境の整備や教育課程の工夫 |
○医療的ケア児個々の主治医との連携 |
これらの課題解決に向けて、県教育委員会では、平成30年度も引き続き本事業を受託し、高度な医療的ケアを必要とする医療的ケア児を受入れるための安全・安心な校内支援体制の充実を目指して研究を継続することとしております。
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